lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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実践 コンプライアンス法務(コンプライアンス部門の「攻撃機能」!)

実践 コンプライアンス法務

実践 コンプライアンス法務

「企業法務」とは何ぞやということもつかめていない、コンプライアンス付け焼刃中のlionusですが、「企業法務」と「コンプライアンス」を足して2で割ったような書名が気になって読んでみました。
企業法務(ビジネス法務)は企業を防衛するための機能を持つのに対し、コンプライアンス法務とは、

p.15
経営者の行為態様や主観にとらわれることなく、法律によって保護されるべき利益である法益の侵害・危殆化を違法の本質として客観的にとらえるわけであり、取締役の業務執行に関する判断の評価基準を外部に置いていることになる。

さらに言い換えると、

p.15
このコンプライアンス法務の立場に立てば、経営者に対しても公平公明の見地から是々非々の立場に立たざるを得ない。これは、ビジネス法務の本務が先述のとおりあくまで企業という組織の防衛にあるのに対して、コンプライアンス法務の判断基準は全く企業とは別の次元にあって、その基準から企業の経営活動を検証した結果、次第によってはそのような業務執行を行った経営者に対してその真意と責任を問う場合があり得ることを示唆しているものといわねばならないだろう。

こういう視点がなかったので、これは収穫でした。
以上の視点に立つと、コンプライアンス部門が本来担う機能として「組織に対する攻撃機能」があるということになります。

p.180
すなわち、コンプライアンス部門には基本的な理念がスタンダードとしてあって、その基準に照らして組織の行為が違法である場合、指弾して告発していくなどの攻撃的な機能があるため、兼務している組織内の要員が双方の組織機能に関する要求の板ばさみになるという現象が起こり得るので、注意を要する。

付録として「コンプライアンス年表」や「参考文献解題」(おすすめの本とそれらについてのコメント)もあるのもGoodです。