lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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問題解決型リーダーシップ(MBAスクールっぽい)

問題解決型リーダーシップ (講談社現代新書)

問題解決型リーダーシップ (講談社現代新書)

確か大田肇先生の『がんばると迷惑な人』経由だったはず・・・
前半で理論を述べ、後半でケーススタディを示す、というのがMBAスクールっぽいな〜と思いましたし、実際著者の佐久間賢先生は「ニューヨーク大経営大学院MBA」と紹介文にありました。
なるほど、と思ったのは以下2点です。
まず、リーダーシップの定義について(太字はlionusによる):

(リーダーシップの定義もたくさんあるけれど・・・)
p.65
ひとつ標準的なものを挙げれば、「リーダーシップとは、しばしば人に影響を与え、意欲を奮い立たせて目標の達成へ導く能力である」という内容がある。
この定義に異論はない。すなわち、「ひと(メンバー)を動かし」、「組織目標を達成する」の二つがリーダーの役割である。ただし、「問題解決型リーダーシップ」では、もうひとつの役割を付け加えたい。それは、「上位上司を動かす役割」である。

p.67 すなわち、上位上司を補佐すると同時に、非日常的な重要な問題を上位上司の協力を得て解決する、いわば「企業参謀」としての役割である。

ルーチンだけなら指揮命令系統を”乱す”ようなコトは起こらないけれども、新しいことやイレギュラーなことが起こったときには、他部署と利害が衝突したり、他部署と協同してコトに当たる必要があり、上述の「上位上司を動かす」必要が出てくるということです。あ〜そういう視点はなかったな〜と思いました。
もうひとつ、プロ集団のマネジメントには「ウイン・ウイン型問題解決力」がキーとなる件について:

pp.97-98
一般に、プロは自己の専門性に強い自信と誇りを持つ。それゆえに自己主張も強く、利害関係に敏感である。そして、その利害関係は単に金銭等の経済的条件を超えて、自己の信念や価値観を含めたより高度で複雑な側面を持つ。

プライドが高く、また目的意識、タスクの達成意欲も高いプロたちを束ねるには・・・

pp.98-99
図2-8をご覧いただきたい。ヨコ軸にウイン・ウイン型問題解決力の高低を、タテ軸に人間関係力の高低をとってみると、領域Iでは両者ともに「高い」関係のもとで問題解決が行われる。そして、リーダーとプロ集団との関係が発展する。反対に領域IIでは、両者がともに「低い」関係であり、問題解決は行われない。問題は領域IとIIIである。
プロ集団からすると、リーダーの人間関係力があっても、実務上の問題解決力がない場合(領域IIIにあたる)には、仕事が山積して、先に進むことができない。結局、そのリーダーは排斥されるだろう。一方、Iの場合には、リーダーの人間関係力が弱くても問題解決力があれば、たとえば、あいさつ等は下手でも仕事が解決されて先に進むので、リーダーとプロ集団との関係は発展する。つまり、リーダーとメンバーとの信頼関係が発展してIVの段階に移行することになる。

p.99
したがって、プロ集団を運営するためには、むろん人間関係力は必要であるが、比較の視点からすれば、ウイン・ウイン型問題解決力のほうが優先されることがわかる。そこに、問題解決型リーダーシップが必要とされる理由がある。