だからこそ,自分にフェアでなければならない。プロ登山家・竹内洋岳のルール
だからこそ、自分にフェアでなければならない。 プロ登山家・竹内洋岳のルール
- 作者: 小林紀晴
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: 単行本
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写真家の著者が,一緒に天狗岳を登りながらインタビューしたものをまとめた本です。
- 運は存在しないというのが,私の山登りです。
p.28 運は存在しないというのが私の山登りです。運で片付けてしまうと,その先考えようがなくなっちゃうわけです。そこで思考が停止してしまいます。
p.29 頂上まで登って下りてくる自分を,ちゃんと想像できた人しか登って下りてこられないわけです。さらに死ぬという想像さえもできるかどうか。
けれども,こうも語っておられます。
p.30 ただ必要な運っていうのもあると思うんです。運という存在も必要だと。例えば誰か大切な人が本当に不可解な,想像しえない,一般的には起こりえない事故で亡くなったりしたときに,それをどうしてなんだって考えると思うんですよ。でも,きっとわからない。答えが出ない。そのとき,それは運が悪かったんだと思うことで,救われることもある。だから私は運を否定はしないです。
- 経験は積むものではなく,並べるもの。
pp.60-61 8000メートルを超えると,経験は役に立ちません。むしろ,余計だという気もするのです。経験を持ち込んでしまうっていうのは,非常に危ないと思います。何故ならば,同じ山は二つとないからです。
p.61 ただ経験っていうのは,持ち込んで積み上げると楽になるんです。前回こうだったから,今回もこうなるはずだっていうことを考えなくてよくなるので,楽になるのです。人はそうしたくなるのです。
p.61 だけどそれをするのはとても危険です。経験を積んだ分だけ想像しなくなるからです。何より,正直いってつまらない。
こちらも,また方向を変えてこう語ってもおられます。
p.62 一方で,リアリティのある想像は経験からしか生まれません。
p.62 そういう意味では経験はいっぱいした方がいい。そうするとリアリティのある想像が,たくさんできるからです。
それ以上でもそれ以下でもない,現実を正確に見切って動かないと,即,死につながる登山をされている方の言葉は印象深いです。