背信の科学者たち―論文捏造はなぜ繰り返されるのか?
- 作者: ウイリアム・ブロード,ニコラス・ウェイド,牧野賢治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (11件) を見る
p.36
評価を勝ちとり,専門分野での尊敬を得たいという願望は,ほとんどの科学者たちにとって,強力な動機となる。この認められることへの渇望は,科学の揺籃期から存在していたから,科学者たちは,一つの理論を広めるために,わずかな”改良”や事実無根のデータの捏造に至るまでの誘惑にかられてきた。
プトレマイオス,ガリレイ,ニュートン,メンデル・・・「科学の揺籃期から」「わずかな”改良”や事実無根のデータの捏造」をしていた例として挙げられているのは冒頭から衝撃的です。
科学的方法といっても人間の営みである以上,極めて生臭い側面があることがよく分かります。
大昔のように「科学者」が趣味人あるいはパトロンに支えられた存在から,職業として成り立つようになった結果,飯の種=科学者としての職(ポスト)を得るために実績(=論文)作りに追われる,という構造が出来上がる→研究不正をしてでも論文を挙げるぞ,という動機につながる,ということです。とっても乱暴に言えば。