lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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背信の科学者たち―論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

背信の科学者たち 論文捏造はなぜ繰り返されるのか?

1988年に「化学同人版」から原書の全訳が出て,2006年に原書を一部割愛した「ブルーバックス版」として再出版されたものが,STAP細胞事件をきっかけに,再び新たに単行本として刊行されたものです。

p.36
評価を勝ちとり,専門分野での尊敬を得たいという願望は,ほとんどの科学者たちにとって,強力な動機となる。この認められることへの渇望は,科学の揺籃期から存在していたから,科学者たちは,一つの理論を広めるために,わずかな”改良”や事実無根のデータの捏造に至るまでの誘惑にかられてきた。

プトレマイオスガリレイニュートン,メンデル・・・「科学の揺籃期から」「わずかな”改良”や事実無根のデータの捏造」をしていた例として挙げられているのは冒頭から衝撃的です。
科学的方法といっても人間の営みである以上,極めて生臭い側面があることがよく分かります。
大昔のように「科学者」が趣味人あるいはパトロンに支えられた存在から,職業として成り立つようになった結果,飯の種=科学者としての職(ポスト)を得るために実績(=論文)作りに追われる,という構造が出来上がる→研究不正をしてでも論文を挙げるぞ,という動機につながる,ということです。とっても乱暴に言えば。