lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

コンプライアンス論から規範競合論へ―ウソの社会的発生から消滅まで(規範競合という言葉にひかれて一読。)

以前読んだ『内部告発のマネジメント コンプライアンス社会技術
内部告発のマネジメント―コンプライアンスの社会技術 (組織の社会技術4)

内部告発のマネジメント―コンプライアンスの社会技術 (組織の社会技術4)

の「まえがき」で

鳥瞰すれば、内部告発とは、集団規範と社会規範(倫理規範)が違背するところに生じる葛藤下の行為なのである。組織の利益や便宜を目指す行為が、より大きな社会の規範と違背している。

とあるのを目にしたときから、集団規範と社会規範のズレということが気になっていました。
ちょうど「規範競合」という言葉がタイトルに見えたので、一読してみました。
分野としては政治学の話なので、lionusにはちんぷんかんぷんだったのですが、

p.18
規範Aと規範Bが競合し、規範Aが優位で規範Bが劣位であるにもかかわらず、規範Bを当該アクターが優先せざるをえない事情があるために、虚言を必要とする。

こういう状況下で起こる現象をとして捉え分析する、という枠組みは参考になるな〜と思いました。
の着想はゲーム理論から多くを得ているように見受けました。実際本書の序章ではゲーム理論っぽい問題の整理方法が提示されており、かつ以下2つの参考文献も示されていました。

経済学のためのゲーム理論入門

経済学のためのゲーム理論入門

ゲーム理論入門 (日経文庫―経済学入門シリーズ)

ゲーム理論入門 (日経文庫―経済学入門シリーズ)

Amazonのレビューを見ると、「入門」とありますが、特に前者はそれなりに気合を入れて読まないといけなさそうな感じですね^^;
ああそうそう、本書はコンプライアンス付け焼刃のために読んだのですが、コンプライアンスそのものについてはほとんど出てきません。むしろ、コンプライアンス論→(規範等を)遵守するか否か、という「二分法思考様式」としてばっさりやられています。