lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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工学部ヒラノ助教授の敗戦 日本のソフトウエアはなぜ敗れたのか(「第一稿」の「怨念」はいかばかりのものであったか。)

工学部ヒラノ教授シリーズです。
本書では「ヒラノ助教授」になっています。大学教員として最初のキャリアを始められた、筑波大学でのお話です。

p.9
この本に記すのは、筑波大学の第一号助教授として、日本最初の、”ソフトウェア中心の計算機科学科構想”が瓦解する現場に立ち会った若者の、痛恨の記録である。

日本の計算機科学は、長らくのハードウェア重視のため、ソフトウェア研究のレベルは先進国アメリカに遠く及ばないということを嘆いておられます。
そして、従来のしがらみから自由(と思われた)新設大学=筑波大学に意気揚揚と赴任したところ、筑波のぬかるみに足をとられ転倒し泥まみれになり、日本にソフトウェア研究の国際A級拠点を作るぞと意気込んだ当初の理想も有耶無耶になってしまったという”敗者の記録”です。
本書の前には、以前書かれた「第一稿」があったそうですが、あまりにも”怨念”が立ちこめていたため、お蔵入りにしてよかったということが「あとがき」に書かれています。
前身の東京教育大から筑波大への移行のあれこれについては、以前読んだ別の先生の本でも読みました。人間はこわいです。