lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち(呼ばれたので,つい。)

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

先日図書館のエントランス付近に出来た「先生のおすすめの本」コーナーを横目に歩き過ぎようとしたら,表紙が目に飛び込んできたのです。
まるで本に呼び止められたような感じでした。
何これと思い,手にとると,昔情センにおられ,今は理工学部所属のO先生のおすすめだそうで。
lionusはハッカーでも画家でもあり得ませんが,とても面白い本です。
ずっと自分が漠然と考えてきて,でも自分は頭がおかしいのではないかと思い,隠し通してきたことがいくつか書かれていることに,衝撃を受けました。
普通,1度読んだ本は(論文書きのためを除き)再び読むことはないのですが,この本は手元に置き,折にふれ読み返す価値が自分にとってはあると思いました。
以上,何のことやら訳分らん主観的な記事になってしまったので,今の仕事に関係のありそうな,心ひかれた部分など引用してみます。

もちろん、お客は常に正しい。デザインの良さはユーザに対してもたらす効用によって測られる、という意味においてはね。皆を飽きさせる小説を書いたり、座り心地が最悪な椅子を作ったりしたら、それは単にダメな仕事だ。たとえその小説だか椅子だかが最新の理論に基づいて作られていたとしたって、何の足しにもなりゃしない。
それでも、ユーザにうまく使ってもらえるものを作るというのは、ユーザの言う通りに作るということとは違う。ユーザはすべての選択肢を知っているわけじゃないし、本当に欲しいものが何かということについてはよく間違う。これは医者の役割によく似ている。患者の症状だけを見ていては駄目だ。患者が症状を話している時に、何が原因となっているかを見極めて、それを手当しないと。
こういった、ユーザへ注意を向けることは、良いデザインをもたらす方法の多くで、一種の公理のようなものになっている。デザインに関する問題の多くはその周辺にある。
デザインはユーザのためのものだと言ったが、ユーザの最小公倍数みたいなものを目指すのが良いデザインだというつもりはない。

大事なことは、特定のグループのユーザを対象とすることなんだ。

良いデザインが出てきやすいのは、対象とするユーザがあなた自身を含んでいるときだ。自分自身を含まないグループに対して何かをデザインしていると、対象ユーザ層は自分より上ではなく、下だと思ってしまいがちになる。ユーザを見下ろすことは、たとえ慈悲心があったとしても、いずれはデザイナーを駄目にする。

「デザイン」は「授業」とか「教材」に,「お客」もしくは「ユーザ」を「学習者」あるいは「学生」と置き換えてみても通じるのではないかと思いました。