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零戦と戦艦大和(名人芸の強みと弱み。)

零戦と戦艦大和 (文春新書)

零戦と戦艦大和 (文春新書)

大学図書館の新書の棚を眺めていたら,パッと目に入ったので,気晴らしに読んでみました。

アメリカは戦争を出来る限り「サイエンス」として捉えようという志向があります。もともと戦術は「アート・オブ・ウォー」と呼ばれ,不確定な要素,個人の直感的な判断によるところが大きいとされてきた。しかし,アメリカは図上演習などによって,作戦をぎりぎりまで論理として突き詰めていく。

サイエンスの部分を最大化することを目指すのです。科学的発想の割合が多くなれば,誰が指揮しても勝てるはずだ,と考える。

それに対して,日本は作戦の立案,駆逐艦の操艦,戦闘機の操縦,いずれもアート,すなわち名人芸として理解してきた。その意味では,日米の戦いは名人芸対サイエンスの戦いでもあったわけです。(太字はlionusによる)

零戦戦艦大和も,現場の「名人芸」の賜物であることが,本書の後半で読めるのですが,日本の「名人芸」という強みが,反対に弱みとなってしまった面も大きいと感じました。