lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

客商売のタブー語。

某所では今年度からPCを使った授業に入ってくれるTAが大半入れ替わり,ほとんどが新人さん(学年は4年生とか比較的上の人もいるのですが)です。
元締めである情センの専任の先生の教育の賜物か,知識・スキルにばらつきはあるものの,人格的にはかなり良いレベルで仕事がこなせる学生さんだと思っているのですが,先日授業終了後,ちょっとした相談事の話になりました。
授業時のlionusの指示を聞いていないのか,「こんなことも分かっていないのか」ということを尋ねてくる受講生がいるとか,動画教材を順番に見てその通りやっていけば問題なく課題がこなせるのに,マイペース(テキストをつまみ食いして自己流という意味かもしれない)で”食い散らかした”課題を「これからどうしたらいいですか」と丸投げしてくる受講生がいるので,どうしたらいいのかということでした。
後者については,親切心からあれこれ教えてあげると,依存心を助長(強化)してしまうので,動画教材で「これこれはこんな風にすればいいです」と教示して自学自習を促すようにというアドバイスをしました。
前者については,なかなか難しい問題をはらんでいたようで,少し長いミーティングになってしまいました。
TAの認識としては,先生(lionus)が言ったことは受講生はちゃんと聞いているべきだし,そしてその通りやって当たり前という向きがあったようです。しかし,lionusが喋っている間,目の前のPCでYoutubeやらmixiやらを見ていた日には,linousの喋った内容など頭に残っているとはとてもではありませんが期待できません。まあ,仮にある程度「まじめ」に聞いていたとしても,人間はテープレコーダーではありませんから,やはりlionusの指示内容が全て受講生に通じていることは限りません。
まずそこのところがTAの認識が甘いというか理想主義的だったということを(やんわりと)指摘しました。
次に,TAは学生ながら教員(lionus)サイドのメンバーですから,「さっき先生が言われてましたけど・・・」という言い方は明確にしないまでも,そのようなニュアンスで対応してしまう傾向があったようです。当日の授業時には,特に問題はなかったようですが,TAの訴えを聞いてlionusは「客商売では言ってはいけない言葉」の話をしました。
それは,「先ほども申しましたが」です。
このフレーズには,「ワタシはきちんと説明した,アンタがちゃんと聞いていないのが悪い」という自己正当化と非難のニュアンスが多分に含まれています。したがって,お客様には言ってはいけない言葉と考えられます。最近,どこかで同じようなことを書いておられたBlogを拝見して,「そうだそうだ」と思ったのですが,どこのBlogだったのか忘れてしまったのが残念です。
TAと受講生の関係は,客商売とはいえないかもしれませんが,対人接触業という点では共通しています。「さっき先生が言われてましたけど」とTAが口にすることは,一般の客商売の場合よりは相手にむかつき感を起こさせないかもしれませんが,近年の多様化した大学生相手ですから,中には必要以上の摩擦を発生させる可能性も否定できません。
「さっき言ったでしょう」と言いつつ対応する時には,相手も漠然と不愉快になるし,自分自身も相手を非難しているという点で不快感情が出てきます。
ここは相手の質問を新規なものとして受け取り(受け流し),ニュートラルに質問への問いを返すことに専念するように,そしてそれが相手だけでなく自分の精神衛生にも良いよということを,つらつらと述べました。
どれだけ理解してもらえたか分かりませんが,仕事をするってこういうことなんかなぁとか思ってもらえたらちょっとは嬉しいかもしれません。