lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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路面電車―未来型都市交通への提言(爆走びっくり。)

路面電車―未来型都市交通への提言 (ちくま新書)

路面電車―未来型都市交通への提言 (ちくま新書)

広島市出身のlionusにとっては,路面電車(広電)はJRよりも身近な「電車」でした。なまじ街中に住んでいたため,高校卒業まで半径2キロ以内の世界で過ごしていたので,あまり路面電車に乗ることはありませんでしたが,道路を車と一緒にゴトゴトのんびり走る姿は結構好きでした。
子どもの頃,普段は宮島に行くのには速いJRだったのを,広電の宮島線を使って行ったところ,非常に驚いた経験があります。
路面電車といえば,のんびり走り,路上の停留所にこまごまと停まる街中での姿しか知らなかったので,己斐駅を過ぎ,路面ではなく”普通の”鉄道と同じ専用線区間宮島線に入った途端,「ウィ〜ン・・・ゴゴゴゴゴゴー」と全力で走り出すのに衝撃を受けました。
「ウソ!実はこんなに速く走れたなんて!だまされた!*1
ちなみに,広電が街中の姿から豹変していかに爆走しようとも,ハードで勝るJRには速度では勝てませんが,地の利があります。それは,JRの駅は中心市街地からやや離れているため,中心市街地に宮島から直接乗り入れられる広電の方が,宮島方面からの足としては利便性(とトータルの所要時間)で有利なのです。
上記の本は,前半では日本各地の路面電車について紹介し,後半は欧米(主にドイツ)で郊外から中心市街に直接乗り入れる路面電車が,公共交通機関として大活躍(中心市街地の車渋滞解消などが主な効果)している現状を紹介しています。
日本の各地でも路面電車を見直し都市交通システムとして有効に活用しようというような動きが,近年あるようですが,広電の宮島線のように郊外から中心市街地へのスムーズなアクセスを可能にするようなものを考えないと,掛け声ばかりで終わってしまう可能性が高いということが,欧米の成功例から理解できました。
あと,欧米では日本の路面電車(あるいは路線バス)のような乗降時の料金徴収(チェック)ではなく,切符を買って乗ってくれているよね,といわば乗客を”信用”して乗降時のチェックがない方式をとっているそうです。それゆえ,日本の路面電車に比べ乗降がスムーズで時間短縮=速度アップ=運行スムーズ,なのだそうです。しかし,無賃乗車をさせないために,車掌が抜き打ちで車中検札し,無札なら結構高い罰金を取るのだとか。
ノスタルジーではなく,欧米にならって合理的精神で路面電車が活用されて欲しいです。

*1:別に電車はだますつもりはさらさらないのだが。