lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線(センス良い。)

朝日出版社から以前出版されたものに,新しく章を追加して再度出版されたものだそうです。
もともとは,高校生を対象に,現役の研究者が脳について対話授業形式で語るさまを記録した「実況中継」スタイルの本でした。新しく追加された章は,著者の研究室の学生相手に対話授業しているさまが記録されています。
ただ「面白おかしく」語るだけではなく,(自分や他の研究者の)研究論文をもとに語っておられるし,その論文は巻末に挙げてあるので,やる気があれば元論文に当たって勉強することも可能にしています(lionusはしないですけど!)。
それにしても脳について高校生(院生)相手に語る際の説明の上手さには舌を巻きます。
ちゃんとした学術論文の知見も押さえつつ,例え話を交えながら分かりやすく面白く語られるそのセンスはクールの極みです。
分かりやすく面白くを心がけるあまり,話が不正確,大雑把,誇張気味になったりするのは脳科学に関してはよくあることですし,脳科学は誰にも興味があることだけに,ひとつ間違えると誤解曲解がブーストされ「トンデモ」が跳梁跋扈する余地がありまくりです。
そこいら辺をそうっと避けつつ,口当たりよく語ることができるのは本当にセンスの良い人だなああああと思ってしまいました。