lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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華族家の女性たち(華族は家族。)

華族家の女性たち

華族家の女性たち

「旧華族の人たちはみな,親戚関係にありますよ。先生がここにおられることも,皆さんご存知ですよ」と言われ,驚いた。1011家ある華族の多くが,どこかで姻戚関係として連なっているというのである。妹の夫が,後妻の実兄の妻が,というように。旧華族同士で連絡をとりあうのは,詐欺的な話を持ち込まれることもあって,お互いの防衛のためでもあるらしい。そこには親戚としての交流が下敷きにあるようだ。華族は婚姻で結束を固めた結果,制度が廃止されたあとも閨閥は残ったのである。

制度が廃止される前の華族は「皇室の藩屏」の一旦を担うという役割があったと本書を読んで実感できました。皇室に仕える人材や皇后候補の供給源としてです。明治天皇の代までは側室が置かれていましたから,当然,皇后(本妻)に男子が生まれなかった場合は代わりに男子を産む側室候補の供給源でもありました。
だからといって華族を復活すべしとは決して思いませんが,*1いまの皇室は丸裸である」という意見には共感せずにはおれません。
本の内容自体は特に難しいとか堅苦しいとかいう印象はありませんでした。
親戚の物知りおばあさんに,親戚や近所の人の過去話をお茶をいただきながら「へぇぇぇぇ〜」と聞くのに似た読後感がありました。

*1:それに今仮に制度を復活したとしても,多くは既に俗世間に紛れてしまっているので"noblesse oblige"を期待することは無理でしょう。