lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

スピリチュアリティーとは何か―哲学・心理学・宗教学・舞踊学・医学・物理学それぞれの視点から(生者と死者を分けるものは。)

幽霊は見たことがないので,その存在については有るとも無いともいえませんが,人間には「たましい」のようなものがあるだろうという気はします。

スピリチュアリティーとは何か―哲学・心理学・宗教学・舞踊学・医学・物理学それぞれの視点から

スピリチュアリティーとは何か―哲学・心理学・宗教学・舞踊学・医学・物理学それぞれの視点から

様々な立場から寄稿された論文が集まって出来ている本です。
したがって,ぴんとこない部分も多かったのですが,最終章の「スピリチュアリティーに関する物理的考察」(奥健夫)はかなり興味深かったです。

最近の脳科学の見方では,「分子生物学をきわめれば人間の意識もすべて解明できる」という説と,「細胞や分子をいくらいじったところで人間の意識は解明できない」という考え方に二分されている。著者自身は,物質レベルでは完全に解明できない「何か」が意識や生命エネルギーにある,と考えている。

「生きている」肉体と「死んだばかり」の肉体は,モノとしてはほとんど変わりがないでしょうが,「生きている」肉体は自ら考えたり動いたりするのに対し,「死んだばかり」の肉体は,しばらくの間は瑞々しさを保っていても,じきに崩壊に向う,この違いは何なのか疑問です。
あと,巧妙な技術により人間らしいロボットが生まれたとしても,人間は発生当初から自分で自分を教育(プログラミング)して成長(発達)していくのに対し,ロボットは人間がプログラミングしてやる必要があります。つまり,「自発的」か否かが生物と無生物を分ける大きな違いの一つではないかと漠然と思っています。
この章の筆者は,物理学の知見を基にわれわれの普段の認識からすると「何も含まない状態の空間」に通常の物質やエネルギーの情報量と比較して桁違いに多い情報量が含まれていることを示し,肉体的(物質的)エネルギーとその「何も含まない状態の空間」の間にある「情報」が人間の意識の「情報」に関わっているのではないかという仮説を展開しています。

スピリットの一形態である3次元境界ホログラムから投影された情報が意識となり,光凍結的現象により生命エネルギーに変換され,その一部が光凍結して脳や身体を形成する原子を構築する

この引用だけではチンプンカンプンというか怪しげですが,見えないけれどもわれわれの肉体を形成する源泉であり駆動する何か(例えばたましい)とは何か,そしてその性質について短いけれども興味深い論が展開されています。
lionusは物理学について全く素養がないので,この論の展開自体がトンデモであるかどうかは論評できないのですが,変なおどろおどろしさも無く,すっきりしたお話なので読んでいて気持ちがよかったのは確かです。