lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

年寄りlionus。

4月18日の日記で書いた動画教材の授業での利用ですが,「前途多難を感じさせる」クラスのみならず,この前期にlionusが担当する全ての情報リテラシー系のクラスで採用しています。
何ともすごく効果的です。
4月18日の日記に書いた時は,初めての利用だったので,クラスの学生さんもかなり戸惑っていたのですが,今週(動画教材利用2回目)の授業では,前回の要領が残っていたようで,スムーズに各自作業を進めることができ,かえって拍子抜けしました。
この学校では,クラスの雰囲気の以外にも問題がありまして,指定されているテキストがかなり使い辛く(Wordのバージョンが古い等),テキストに頼れる余地が少ないため,授業中にはしばしばあちこちからヘルプを求める手が挙がり,他の「お行儀の良い」クラスでも青息吐息の授業進行が常でした。しかし,今回は操作手順の説明は動画教材に任せ,教員は個別対応に集中できるため,lionus個人としては心安らかに仕事ができ大変嬉しいです。
一方,その他の「普通」に教員画面+口頭説明で授業が進むクラスでは,授業で扱える内容を欲張れるようになりました。
今までだったら2回に分けていた内容を,1回の授業でこなしてしまうことが出来るようなのです。
時間が余る分,これからは何か(発展的な)ネタを考えないといけないので,自分で自分の首を絞めているような気もするのですが・・・(苦笑
以上は,教員の側からの動画教材利用についての感想ですが,学生さんはどう思っているのかは,実は怖くてまだはっきりと尋ねていません。
しかし,当該の「困難」なクラスの学生さんが帰り際にしみじみとした表情で「この授業はパソコンの授業やけど置いてけぼりにならないからいい」というような意味のことを言っていたのが印象的でした。
確かその学生さんは最初の授業中に,「高校で情報むっちゃ苦手やってんけど,この授業私は大丈夫ですか?」といきなり話しかけてきた覚えがあります。その時,lionusは何と答えていいのか分からず*1曖昧に流してしまったので,心の隅で気になっていたのですが,何となくその背景が分かったような気がしました。
高校の「情報」ではPCを使った授業で,教師の指示についていけず焦れば焦るほどどんどん授業の流れから外れてしまい,取り残されてしまうのが辛かった,というのです。
気が付くと,大学での「情報教育」に関わるようになって11年目なのですが*2,「昔は良かったなぁ」と,年寄りじみた感想を抱いてしまいます。
私が情報教育の仕事を始めたばかりの頃は,確かにWindows95が出た後で,自分がPCを買ってもらった1980年代よりは,PCやインターネットが一般的なものになりつつありました。しかし,PCの電源の入れ方から始まり,「電子メール」とは何ぞや,とかいちから説明していた頃は,教えている側も教えられる側も大変だけれど何だかわくわくする気持ちがありました。別な言い方をすれば,「珍しいもの」を扱うというちょっとした優越感めいたものもあったのでしょう。
現在は,PCもインターネットもごく当たり前になったのに加え,携帯の普及でメールやネットのパーソナル化が浸透しきっていますから,「便利」なものではあっても「珍しく」も「有難く」もないのです。
また,高校で教科「情報」が実施されるようになってからは,「数学」や「国語」などの「お勉強」の仲間入りをしつつあるのかもしれません。「勉強」の仲間入りをするのはよいことだと思いますが,「勉強」は「強いて勉める」と書くわけで,その点で嫌われ者になる可能性もあるわけです。
だからといってこの高度情報化社会では,初等・中等教育の段階で教えないわけにもいかないですしね。
昔に比べてコンピュータの扱いをある程度知っている・慣れている一方で,授業前の時点で好き嫌いやスキル格差が生まれているという,いわば「光と影」が存在しています。
ひとつのクラス内で好き嫌いやスキル格差が存在するというのは,体育の授業なども同じだと思うのですが,そこのところ,体育の先生はどのようにお考えなのでしょうか。
体育が絶望的に苦手で*3,小・中・高を通じて体育の授業が嫌でたまらなかったlionusとしては非常に気になるところです。

*1:大丈夫!と安請け合いするのも無責任だし,頑張りなさい!とプレッシャーをかけるのも無粋だし

*2:お前一体いくつやねんというツッコミは無しの方向で。

*3:スポーツ得意の男担任による放課後の特訓でも鉄棒の逆上がりが出来ず,バトミントンでは空振り連発,テニスではラケットに球が当たってもあらぬ方向に飛んでいき試合続行不能,バレーボールではサーブが敵コートに届かない・・・ひどい有様でした。高校の時の長野スキー合宿ではコーチに舌打ちされ,グループの足手まといになるとゲレンデに置いてけぼりにされました。ああ苦痛の記憶。