lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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占いの謎―いまも流行るそのわけ(当たるかどうかは問題ではなく。)

占いの謎―いまも流行るそのわけ (文春新書)

占いの謎―いまも流行るそのわけ (文春新書)

著者は文化人類学を専門とされておられるそうです。幅広い文献からの引用が,著者の学識の厚さを示しているようでした。占いが当たるかどうかということは問題ではなく,人間にとって「占う」という行為が何を意味するのかということについて説得力のある考察がなされています。

結局,人間は,世界や人生を無意味でデタラメなものとしては受け入れがたいのである。それらを,意味あるものとして,説明できるものとして,秩序あるものとしてとらえたいと思うのである。宗教や自然科学の目的は,つきつめれば,そういう世界の秩序づけである。

世界が偶然の寄せ集めととらえられることに気づいたとき,そういう偶然性を,なんとか必然性へと読みかえようとするこころみ,その一つが占いなのではないだろうか。

その意味で,占いは,人間というもののあり方そのものに根ざしており,それゆえ,はるか昔から今にいたるまで,人間は占い行為をおこなうのであり,おそらく,このあとも,どんなに科学が進歩しようと,占いに頼る人がいなくなることはないだろう。