lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

情報教育研究集会第1日目

平成18年度情報教育研究集会の初日に参加してきました。

午前

インストラクショナル・デザイン入門というチュートリアルを受けるため,前日から広島の実家に泊まり,朝早くから出発*1して広島大学に向かいました。
2時間程度のセミナーだったので,本当に「入門」でした。ただ,事前に教材として配布されていた大量(53枚)のスライドを目でなぞるよりも,実際に講師の内田先生がお話されるのを聴くことは意味があると思いました。
IDそのものは素晴らしい,必要だ,と思いましたが,企業内教育など,養成したい人材像や,能力とそのレベルが明確である場合に最大の効果があるものだとも感じました。
ですから,大学の授業全てにIDを取り入れるのは無理があると思います。
大学の授業の中には,養成したい能力とそのレベルが比較的明確なものもあれば,そうでなく,目的(ゴール)が抽象的なものも多いと思うからです。
その抽象的なものを,こまごました具体物に落とし込んでゆくのがIDなのだ,と言われれば,そうかもしれないけれど,でも・・・と口ごもってしまいます。

普段昼食を食べないので,この日も特に食べたいとも思いませんでしたが,どこか座って温かいものを飲みたいな,と思い,セミナーのあった建物前の生協食堂をのぞいてみました。
ちょうどこの日は平日だったので,登校している学生+セミナー受講者で,食堂には長い列が出来ていました。
とりあえず午後の講演の行われるホールで受付を済まし,渡された構内マップを見てみると,マクドナルドが入っているではありませんか。へぇ,国立大にも入る時代になったのか,と少し歩いて行ってみました。
特別なところはなく,普通のマクドでしたが(値段も普通),サラダセット(ホットコーヒー)を注文してみました。
窓際の席で飲食しながら外を眺めていると,学生の自転車乗車率の高いこと。半分以上が自転車に乗って構内をすいすいと移動しています。歩いている学生の方が少数派に見えるくらいです。
確かに,敷地が広大(←ひろだいだから,こうだいって訳ではない)ですから自転車がないと移動に難儀するでしょうね・・・

午後

事前の論文集資料に沿ってお話されていました。
情報科学は「人工系の科学である」という主張は以前から聞きますが,これの意味がlionusには今ひとつ腑に落ちません。人間が作ったものとはいえ,人間も自然の一部ではないのん?人間が自然の一部であり,自然の法則(種としての限界とか,物理的法則とか)に従う限り,最終的には自然には勝てないのと違うの?・・・う〜ん,多分lionusの頭がついていけてないだけなのだろうか。

  • 特別講演2「e-Learning2.0 を目指した高等教育の試み -- テクノロジーは授業を「楽」にする --」(安武公一氏,広島大学大学院社会科学研究科)

これはとてもよかったです。プレゼンの形式自体高橋メソッドを一部採用し,時々ギャクを交えながら軽妙に進めておられ十分面白かったのですが,内容はさらに生き生きと面白かったです。
「目指したのはTEAL(TEAL project:MIT)」だそうです。
使った道具は,WebCT(メール,掲示板,サーバ,アンケート機能)+pukiwiki上で学生に作業させる+nuclearusms(Blog;学生の授業作業日記)の3つ。学生を基本的に3名ずつのグループに分け,まずは授業テキストの内容を調べさせる。それをまとめてpukiwiki上に掲載→教員から突っ込みを入れる+他の学生からの突っ込みも。調べたテーマは授業中も簡単なプレゼンをさせ,WebCTのアンケート機能を使い相互評価をさせた。
以上のような授業を進めていくと,以下のようなことが自然発生的に起こったそうです。

    • コメント機能使っていなかったが,学生が勝手に使い始める
    • 各自ブログでwikiの作業日誌,授業で学んだこと,授業の感想など書き始める
    • トラックバック機能を使い始める学生も(網の目ネットワークが自然と形成されはじめる)
    • 授業のテーマやまとめノートなど学生が作る(ボランティア)→知識の広がり
    • テキストに載っていないこともまとめたり,試験対策問題までも勝手に作り出す

学生の初期(授業開始時)レベルは想定よりも低いが,各種ツールを使うと思いのほか反応発展がある(可能性がある)とおっしゃっておられました。ううむ。まあ,広大の学生だからなぁ・・・でも,担当教員のタレント(またはアジり;笑)+各種ツールで想定外の可能性が引き出せるというのは楽しいお話です。その代わり,どんな授業展開になるかはほとんど予想がつかず,当初のシラバス通りにはいかないという,午前中のIDとは真反対の話だと感じました。
ちなみに,講演タイトルの「楽」は「ラク」ではなく「楽しい」の方だそうです。

その後

午後の講演を2つ聴講していたら,次第に気力が無くなってきたので,まだプログラムは全て終わっていませんでしたが,後はサボって帰ることにしました。
西条駅に向かうバスに乗っていると,窓から見るもの全てが何だか陰気でどんどん落ち込みます。
特に何か嫌なことがあった訳でもないのですが,肩が重たくなってきます。その後,目の前がチカチカして頭痛がやってきました。野犬だけでなく,何か悪い”気”でもあるのかしらん・・・(怖

*1:lionus実家は市内なので,JR+バスで所要時間約1時間程度。