易・五行と源氏の世界(風水で思い出した。)
内田樹先生のblogで「風水の話」という記事を読み,思い出した本があります。
- 作者: 吉野裕子
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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「宇津保物語」「源氏物語」のストーリーに込められた作者の意図を易・五行の文脈から名探偵の推理よろしく説き明かしている。内容は専門的で難解な部分が多いが,易や五行の仕組みを解説する図表を要所要所に入れているのは親切。学術書だけに淡々とした文章だが,源氏の自宅,しばしば「源氏究極のハーレム」と位置付けられた六条院の配置について解説した部分で「六条院の完成は,源氏の人生の完成でもあった。六条院の意味は深く広く重い。単に華麗なハーレムとして一言でこれを片づけることは出来ないのである。」と述べるくだりはふと著者の感情が透けて見えるような気がした。ハーレムという言葉には研究者―多くは男性―自身の羨望めいたものが貼り付いている・・・そんなもんじゃないのよ,六条院は,とでも言いたげな気持ちが。穿ち過ぎかな。
そして芋づる式に思い出したこともうひとつ。
何年か前,今は東京にいるNHKの野村正育アナと中川緑アナがペアで関西の18時台ニュースを担当していた時のことです。
ある日,京都タワーホテル(多分)で「源氏物語」の登場人物をイメージしたカクテルを期間限定で出している,というトピックスがありました。取材VTRが終わり,画面がスタジオの2人に戻った時・・・
野村アナ:僕は「六条御息所」*1はちょっと遠慮したいかもしれないですね。
中川アナ:・・・(は?といった微妙な表情を一瞬した後,次の話題に移る。)
かわいそうな正育アナ・・・京大院卒のあふれる知性が空回りしてしまったような一コマでした。*2