lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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下流社会 新たな階層集団の出現(細かすぎだよ。)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

あちこちで色々反響を呼んでいる本です。先日書店の「話題書」コーナーにあったのをざっと立ち読みしてきました。

下流」とは、単に所得が低いということではない。コミュニケーション能力、生活能力、働く意欲、学ぶ意欲、消費意欲、つまり総じて人生への意欲が低いのである。その結果として所得が上がらず、未婚のままである確率も高い。そして彼らの中には、だらだら歩き、だらだら生きている者も少なくない。その方が楽だからだ。(「はじめに」より)

本の内容についてはamazonで沢山レビューがついています。ご参考まで。
上記のような階層(群)が増加している,というのはさもありなん,と思うのですが,「下流」を詳細に描写するために用いた社会調査データの料理の仕方がお粗末でした。
サンプルは首都圏のみから集めていて,それもツッコミを入れたくなるところですが,首都圏は「時代の先端」を掬い取れるところ,と考えればそれはそれで良いと思います。
しかし,クロス集計を繰り返すうちに,度数が0,1,0というセル構成の行が見られるなど,ごく少数のデータから極端な推論をするごりごり押しになっています。紀要論文レベルのデータならまだしも,単行本にするデータとはいい難いです。
単行本の体をとった週刊誌の特集と思ったらよいのかもしれません。*1

*1:でもこんなの新書で出したら駄目でせう。