科学哲学者 柏木達彦の多忙な夏―科学ってホントはすっごくソフトなんだ、の巻(人の言うことに耳を傾けよ。)
科学哲学者 柏木達彦の多忙な夏―科学ってホントはすっごくソフトなんだ、の巻
- 作者: 冨田恭彦
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 1997/01
- メディア: 単行本
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人間がよりよい考えに至るには,反論が出てくることを大切にしないといけないよね。科学の場合には,反証の試みもこれに当たるわけだが。
結局,今自分はどう思っているのか。そこから出発するしかない。そして,他人の意見をも聞きながら,どうするかを考えることになるんだよね。
以上の文章は本の最終章に出てきたものですが,これらを読みながら,内田樹の研究室の「当世女子学生気質と落語のはなし」という記事を思い出しました。
とにかく、「耳を傾ける」「受け容れる」「敬意を払う」「節度をたもつ」というようなふるまいに知的リソースを優先的に備給する学生たちがちらほらと出現してきたのである。
これは驚くべきことである。
というのは、そのような態度を知的にすぐれたものとみなす習慣は「まだ」本邦に根づいてはいないからである。
先行世代の「真似」をしているだけでは自分の身を守ることはできない。
それに気づいた少年少女は本能的に生き延びるために有利なしかたを探り当てようとする。
「他者へのディセンシー」は生存戦略上もっともすぐれたもののひとつである。