lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

試験勉強の仕方。

最近,学生さんから言語聴覚士の国家試験問題(第7回,今年2月実施)について,質問を受けることがありました。

実験操作の一義性が高いのはどれか
(1)調整法
(2)恒常法
(3)極限法
(4)適応法
(5)マグニチュード推定法
色々解答を調べたんですけれど、解答が(2)であるものや(3)であるもの(4)であるものと、解答がバラバラなんです。

正解は(2)です。精神物理学的測定法の問題であり,lionusの考えるところ基本中の基本です。なので,質問されてちょっと悲しかったし,国試解答例があれこれ異なるということ自体疑問でした。
解答と簡単な解説を折り返し返信後,お礼のメールを読んで「あっ」と思いました。
「一義性」という言葉の意味が分からなかったそうです。
辞書で調べた意味は「意味が一種類だけであるさま。一つの意味にしか解釈できないさま。一意的。(@nifty辞書より)」です。しかし,これをそのまま問題文に当てはめても確かに理解不能です。自分で少し考え,意味をこの問題に合うように「解釈」する必要がありますが,質問者はそれが出来ず辞書で意味を調べたところで止まっていたようでした。同様に,国試解答例作成者も悩んでおられたのでしょう。
教科書に載っていることを覚えているだけでは駄目で,問題文を読み解く国語力も必要なようです。
この問題を簡単だと考えたのはlionusの盲点でした。同じ文章でも自分が読み解く程度に他の人も読み解いてはいないこと,そしてその逆もあるということ。
再び同じ学生さんから,次のような質問を受けました。

Erikson,E,H,の人格発達論について誤っているのはどれか
(1)漸成発達
(2)誇大自己
(3)ライフサイクル
(4)相互性
(5)同一性
(1)と(3)と(5)があっていることは教科書を調べてわかったのですが(2)誇大自己(4)相互性 のどちらが誤っているのかがわかりません。(2)と解答を出しているものと、(4)と解答を出しているものがあるのです。

lionusは学部の授業でKohut,Hの理論を習っていたので,(2)がEriksonに関係ないことはすぐに分かりましたが,言語聴覚士養成課程の学生さんにはちょっと難しい(範囲外)の用語です。
ですが,勉強の仕方として選択肢に未見の用語があれば,それをインターネットで検索すればよいのではないかと思い,そのようにアドバイスしました。
この場合も,「誇大自己」で検索すれば,Kohut理論について説明しているページが見つかり,そこを少し読めばとりあえずEriksonとは関係がない他の人の理論に出てくる言葉だと分かります。また,ページを検索し読む過程で期せずして心理学の知識を広げることにもつながります。
急がば回れ,というかなんというか・・・試験勉強の方法って難しいですね。
なお,言語聴覚士課程の学生さんで,試験問題について検索してここに辿り着かれることもあるかもしれませんが,私は自分が講義を担当している学生さんからの質問しか受け付けません。よってこの日記上でご質問されてもお答えできませんので,悪しからずご了承ください。