Googleの72時間 東日本大震災と情報,インターネット
Googleの72時間 東日本大震災と情報、インターネット (角川書店単行本)
- 作者: 林信行,山路達也
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/03/04
- メディア: Kindle版
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「72時間」とは,災害発生後72時間を過ぎると被災者を生きて助け出せる可能性が下がるため,災害救援には72時間以内が重要だ,ということからのようです。
Googleのことだけでなく,Yahoo!JAPANのことも少し入っています。東京電力が計画停電予定について公開したのはいいが,アクセス殺到でサーバダウン→Yahooが情報をキャッシュして東電サーバの代わりに大量アクセスを捌いていた,というのは本書で知りました*1。
この震災ではIT・インターネット大活躍!だったことはよく言われていますし,本書でもまさにそれがいきいきと記録されているのですが,他方,デジタルデバイドで災害情報格差が広がっている事例や,政府機関や東電など情報を持っていてもその発信の仕方に長けてないこと(トホホ事例が色々出てきます)など,当時明らかになった様々な問題点も指摘されています。
デジタルデバイドの事例で,2011年当時でも,えええこんなことがあったの〜という話を引用しておきます。「長澤さん」とは,当時東北大におられた長澤純人先生のことで,パーソンファインダーでの安否情報登録・検索を代行するボランティアをしようと近所の避難所に行かれたときの話です。
p.250 驚いたことに,体育館にはすでにNTTがインターネットにアクセスできるよう回線を整備しており,パソコンも2台置かれていた。だが,避難者が30〜40人ほどいるにもかかわらず,ウェブブラウザにはNTTの災害伝言板ページが表示されたままで,利用されている様子がない。インターネットを使えば安否情報などを調べられることを説明しても,避難者たちは何か言いたげな様子をして遠巻きに眺めているだけだった。
ところが長澤さんが実際にパソコンを操作し始めると,どっと人が集まり,「なんだ,そのパソコンでインターネットできるんだ」とつぶやく人もいた。自宅にパソコンがある人もいたようだが,使い慣れていない人にとっては,「インターネット=Yahoo!JAPANやGoogle のトップページ」なのである。体育館には若い人も何人かいたが,携帯電話には慣れていても,パソコンの操作には通じていないようだった。長澤さんがパーソンファインダーを呼びだして検索してみせると,体育館にいた人々は調べてほしい人の名前を口々に告げ始めた。災害から1週間経過しているため,家族の安否は判明している人がほとんどだったが,友人や遠縁の親戚などの情報を知りたがっていた。
(太字はlionusによる)
特に太字部分,lionusにとって,2011年3月の話とは思えませんでした。この10年くらい前なら,太字部分みたいなことはあるある〜と思えますが。あれから4年後の現在でも,多分ほとんど同じ状況になりそうな気がします・・・