江戸に学ぶ企業倫理〜日本におけるCSRの源流〜(「日本取締役協会」なんてあるんだね〜)
- 作者: 日本取締役協会,弦間明,小林俊治
- 出版社/メーカー: 生産性出版
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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大学紀要論文をまとめて読んでいるような印象を受ける本でした。タイトルから思うほど”おもしろみ”はないのですが,資料のとっかかりとしては使えるかもしれません。
その中で,江戸時代の商人道徳について説いた心学を創設した石田梅岩についての章は個人的にちょっとフックしました。
p.102 梅岩自身にとって,商売を実直にやることは目的であると同時に手段であった。梅岩の究極の目的は物事の本質を理解することであり,その手段が道徳的な商業活動だったのである。
p.105 まず,物事の本質を理解するための生きた学問の場をビジネスに求め,ビジネスに実直に取り組まねばならない。一方実直なビジネスは本質を知るための手段であると同時に,商業活動の本質でもある。つまり,実直なビジネスは目的であると同時に手段でもあるのである。
そこから,商業は社会に欠かせない役割の一つであるとの主張が生まれ,無自覚な自己利益追求を戒めたのである。
”自分”が本質何者であるかを知るためには何らかの行為を通す必要があるのですね。
乱暴にいえば家で悶々としているより外に出てはたらけということでしょうか*1。
そういうことを出発点にして色々考えると面白そうだなと漠然と思いました。
*1:外に出る,なら何でもいいのではなく(例えば”自分探し”の旅など),シビアに自分のはたらきを問われる経験である必要がある,と読みました。