人はなぜ集団になると怠けるのか(新書だけどみっちりみちみち重量感すごい)
人はなぜ集団になると怠けるのか - 「社会的手抜き」の心理学 (中公新書)
- 作者: 釘原直樹
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/10/22
- メディア: 新書
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どんな内容かは,著者先生が書かれた「あとがき」が分かりやすいと思いますので,少々長いですが引用しておきます。
p.239 「社会的手抜き」というテーマで一般向けの本を書くことは,正直言ってかなり骨の折れる作業であった。社会心理学の分野での実証的研究はあるが,わが国でも欧米でもあまり多く行われているとはいえない。とくに最近はほとんど行われていない。実証的研究も実験的研究が多く,現実とのつながりを考えると心もとないような感じがした。また集団や組織を対象とした調査研究もいくつか行われているが,得られた結果は常識で理解できるようなものばかりであった。
p.239 そのために本書では,社会的手抜きと関連があるさまざまな社会現象を取り上げ,社会的手抜きの視点から分析することにした。本書で取り上げたのは,たとえば,生活保護の問題,投票率,仕事中のインターネットの私的利用,八百長,集団浅慮,援助行動,カンニング,リスク行動,腐ったリンゴ効果,フリーライダー効果などである。このような現象に関する論文や資料を収集して読み進むにつれて,さまざまな社会問題の背景に社会的手抜きのメカニズムが働いていることがわかった。そして社会的手抜きは集団や組織を維持する面があることも示唆された。