lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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千年企業の大逆転

千年企業の大逆転

千年企業の大逆転

タイトルに「千年」とありますが,本書で扱われているのは百年単位の老舗企業の話で,千年というのはわざと”盛った”表現にしたそうです。
筆者はルポルタージュの名手だそうで,なるほど「はじめに」の記述はぐいっとひきつけられます。

p.13 日本は,生まれがどうあれ,世の中を昇っていくためのはしご段が,最初からはずされている社会ではなかった。たとえ,はしご段から足をふみはずして下に落ちても,また昇りはじめればよいと素朴に信じられてきた。
ところが最近,日本は一度敗退を余儀なくされた人間が容易に返り咲けない,すっかり「固まってしまった」社会であると,少なからぬ日本人が考えるようになっている。ことに若者たちがそれを身にしみて感じ,閉塞感を深めている。

p.14 日本という敗者復活がむずかしい「固まってしまった」国で,傍目には「固まってしまった」と思われていた老舗企業が,見事な蘇生を果している。とするなら,日本はまだまだ「固まってしまった」わけではないのかもしれない。

p.14 老舗企業のあざやかな復活劇は,こうした問いかけに答え,日本社会が秘めている可能性を見つめなおす機会を,私たちにもたらしてくれるはずだ。

本書では老舗企業の事例が5つ紹介されています。巻末には老舗企業研究に関する参考文献が多数挙げられているので,この方面に興味があるなら,文献芋掘りの手掛かりとなりそうです。