lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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セラピスト

セラピスト

セラピスト

元心理屋のlionusには,本書は日本における「カウンセリング」「臨床心理学(と言われるもの)」の受容過程についての記録,としても読めました。
日本の臨床心理のビッグネームの過去発言およびご本人へのインタビューが満載という内容の贅沢さは,多くの参考・引用文献(巻末に掲載)を読み込んだ上で実際に足を運び本人に取材するという労力の惜しまなさに支えられているのだな,と著者の真摯な姿勢に感銘を受けました。
努力,という点では,臨床心理士の養成大学院に科目等履修生として入学するなど,臨床心理士≒セラピストの育成現場に入り込んだり,風景構成法で名高い中井久夫先生のセッションを受けてみたりと,対象への没入具合には凄みを感じます。

p.20
2008年初夏―。
「あなたもこの世界を取材なさるなら,自分のことを知らなきゃならないわね」
木村晴子が私にいった。

本文の書き出し部分です。
読み終わって改めてこの冒頭を見ると,なるほどなと思わせる内容でした。
単なる「じぶんさがし」なんかではない,何ていうのか「墓庫が開く」*1という言葉を思わせるような感想です。
中井久夫先生の本はあまり読んだことがないので,これからぼちぼち読んでみたいとも思いました*2

*1:四柱推命の用語のようですが,四柱推命で使われている意味そのものを意図して書いたわけではないです。語感から浮かぶイメージで書いただけです。

*2:沢山あるのでどれから読めばいいのやらw