lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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大学教授のためのティーチングガイド

大学教授のためのティーチングガイド

大学教授のためのティーチングガイド

別の本を探して書庫内を歩いている時に目についたので読んでみました。
原書は1976年出版,訳本は1988年ですが,今読んでも全く古さを感じません。
タイトルは「大学教授」とありますが,本文中では「大学教師」という言葉で書かれており,このことは,教育専門職として「大学教授」を意識して考えよう,という著者の気持ちが表れているように思いました。
「大学での『教育』は,それ自体ひとつの専門性をもった仕事ではない」という”神話”について,著者は次のように反論を書いています。

p.41
むしろ物理学や歴史学や経済学の教授たちが従事する専門的な知識の追及こそが真の専門家の領域を形成するものだというのである。しかしこうした主張には驚くべく巨大な迷妄がある。というのは学部や短大レベルの大学教育を得ようとする数百万人の大学生があってはじめて,大学教授団を形成する多くの専門的学者が存在しうるからである。これらの専門家の多くは,事実上教師なのである。例えば独立の専門の歴史家というものは極めて少なく,多くは教師として生きているにもかかわらず彼らが教育の専門的な仕事としての価値を認めようとしないのは驚くべきことである。一方で学会で認められることは熱望しながら,他方で教育者としての仕事によって専門家と認められるのを避けたがる教授たちの姿勢の中に,そうした「拒否の態度」が見えかくれしているのである。

先輩教師と雑談しながら色々と教えてもらっているような気持ちになれる本です。