心理学が教える人生のヒント(気象現象と人間行動は同じに語れないのでは。)
- 作者: アダム・オルター,林田陽子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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p.304
この本の最大の目的は、人間の思考は数十億の小さなバタフライ効果が集まった結果であると示すことだ。人間の思考、感情、行動は無秩序な連鎖反応の結果であって、この本で説明した九個の力が少なからぬ影響を与える。人間の振る舞いを予測するのは難しい。それは、この有名なローレンツの蝶の一つ一つの羽ばたきに非常に敏感に反応するからでもある。人はごく幼いころにほんのいくつかの方向付けをされただけで、まったく違う人間になる可能性があることを、以下の仮説的な事例研究が示している。
上記1行目について、本書が成功しているかどうかは、lionus的にはちょっと疑問です。
aとbが関係ある、cがdに影響している、dがfに・・・ということがあれこれ紹介されているのですが、それらは人間行動のなかの部分部分の紹介であって、人間行動のダイナミクスにつながるような記述がなされているようには読めませんでした。
また、バタフライ効果が”発見”されるきっかけとなった気象現象については、気象の動きそのものには”目的”はない(ないはずです)のに対して、人間行動については、適応とか生存のためとか、何らかの大まかな”目的”に沿ってなされていると考える方が適切ではないかと思っています。
その点で、確かに「人間の振る舞いを予測するのは難しい」が、その難しいことの説明をバタフライ効果に求めるのは、どうなんだろうという感じがしました。
*1:ただし、紹介されている事柄は、例えば青を着るか赤を着るかで金メダルを獲れるか獲れないかが違ってくるとかなど、心理学的読み物としてはかなり楽しめると思います。