lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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「事務ミス」をナメるな!(モノじゃなく情報を取扱う時代の安全対策。)

「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)

「事務ミス」をナメるな! (光文社新書)

pp.69-70
コンピューターと通信技術の進歩が、ボタンひとつで、「何でも、いくらでも、すぐにできる」状況を生み出しました。これは諸刃の剣であり、間違える時も、ボタンひとつで一瞬のうちに大損害を出せるようになったのです。

p.70
事務作業者には、今までと比較にならないほど、高い信頼性が厳しく求められています。

ということで、「事務ミス」を防ぐための方策を、人間工学の知見を背景に、著者の先生がかみくだいて示しておられます。非常に分かりやすい本だと思います。
本書の基底に流れているのは、理論をごちゃごちゃいうよりもすぐ役立つ方がエライ!という精神です。
認知心理学方面からの「人間の間違え方」の例を色々示した上で、次のように書いておられます。

p.45
ここに挙げた例の他にも、人間の間違え方には多種多様なパターンがあります。それらをすべて統合して、人間の間違え方の脳内メカニズムを明らかにしたいのですが、どうもうまくいきません。
間違え方のパターンがそれぞれ特殊で個別的過ぎており、全体として共通性が無いのです。フロイトの言うように、それらをつなぎ合わせようとすると、こじつけ的になってしまいます。
したがって本書では、脳内メカニズムの解明についてはとりあえず無視しておくことにします。
人間は不可解です。脳内メカニズムがよく分からなくても、ミス対策は立てられるし、立てなければならない、というのが私の考えです。