lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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告白(何度もすれ違っていたけれどやっと読みました。)

告白 (文春文庫)

告白 (文春文庫)

Wikipedia:大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件の当事者による事件の顛末記です。
この本をすすめておられた知り合いの先生が(この本についてではなく別なことですが)言っておられた「塀の中に落とさせない(仕組み・システムが必要)」という言葉を改めて思い出しました。

p.327
告白状を作成するにあたって、私はあえて経営責任を箇条書きにはせず、十二年間の私の足どりを時系列的に叙述しただけであるが、当然のことながらこれを読む経営トップの人間には、幹部の背任行為はくっきりと行間に見えていたはずである。

p.327
こういったトレーダーの独走による巨額損失事件は必ず裏にそれを許した杜撰な管理体制がある。1982年の第一勧銀シンガポール支店、84年の富士銀ニューヨーク支店、85年の大和トラスト、87年のタテホ化学、94年の東京証券、95年のベアリングズ社のどれをとってもトレーダーは最初から会社に巨額の損失をさせるため取引を行ったのではない。それとは正反対に会社に利益をもたらそうとして行った行為が裏目に出たのである。そしてそれを取り返そうとして行った行為が、なおさら裏目裏目に出て損失は巨額に膨れ上がる。どこまで損失が膨れ上がるかは組織の管理体制次第である。