ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法(反・近代の書。)
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
- 作者: pha
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2012/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大学図書館さん、こんな本を”意識高い”系が読むようなビジネス書とかと並べて置いておいていいんですか、てかそもそも大学図書館で購入していいんですか(笑)*1。
まあいいや。懐の深い母校大学図書館に感謝。
ニートとして有名なpha氏による、ニートという生き方のすすめなのですが、記事タイトル通り、これは反・近代の書ではないかと思いました(近代という言葉の意味するところもよく分からずに書いていますが)。
p.214
福沢諭吉『学問のすすめ』には「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という有名なフレーズがある。このセリフ自体はアメリカ独立宣言の引用なんだけど、『学問のすすめ』で語られる内容は「江戸時代の士農工商みたいな身分なんてものはなくなって全ての人が平等になったけど、それでも豊かな人と貧しい人がいる。その差は何かというと、学んでいるかどうかだ。誰でも頑張れば成功できる世の中になったのだから、みんな学問とか勉強を頑張るべし」といった感じだ。これが近代社会の基本精神なのだ。
しかし、「階級の再生産」に言及し、「誰でも頑張れば成功できる」という考えに異議を唱えています。
p.217
何でも自己責任だということにしてしまうと個人が抱えるものが大きすぎてしんどくなってしまう。自分を責めすぎて自殺してしまう人も出る。だから、誰が悪いかを考えるよりも、もうちょっと「なんか知らんけどまあそういうこともあるよね」というくらいで流してしまえたらいいなと思う。
けれども全部が「環境」のせいではなくて、「ある種の『向上心』や『目標』が人間が生きる上では必要」かもしれないとも言っています。
p.219
仕事をしないにしても全く何もしないのではなく、ブログを書いていろんな人に読まれたいとか、ツイッターで人気になりたいとか、もっといい絵を描きたいとか、いい音楽をやりたいとか、お金ができたらあれを買いたいとか、夏になったら海に行きたいとか、来年は梅酒を漬けようとか、「先にある楽しみなことに向けて自分で何か行動をする」というのを持っている人はニートでも楽しく生活を過ごせているように思う。
「だるい」からなるべく働かないで生きていければ、と言いながらも何もしないわけじゃないんですよね。
p.155
なんで俺は「だるい」についてこんなに熱弁しているんだろう。だるい。
近代的な”システム”になるべく巻き込まれない・押しつぶされないようにして生きていく方向性はないだろうか、そういうことを「熱弁」されておられる、とても面白い本です。