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その数学が戦略を決める(「絶対計算」は現代の「産業革命」。)

その数学が戦略を決める (文春文庫)

その数学が戦略を決める (文春文庫)

少し前に『統計学が最強の学問である』という本を読みましたが,『統計学が…』はその以前に出たこの本を「ネタ元」としているというか,インスパイアされているところ大ではないかと思いました。
いずれにしてもデータ分析が意思決定を左右する時代が来るぞ来たぞキタゾー!!という動きにのった本であることが共通しています。
しかし『統計学が…』と『その数学が…』が大きく異なる点は,「(回帰分析やランダム化等の)統計学すごい!絶対計算すごい!」と言っているだけでなく,「絶対計算(データ分析)」が従来の専門家を”駆逐”してしまうかもしれないという点まで言及しているところです。

p.319
絶対計算の台頭は、無視できない現象となっている。全体としては、それは人々の人生を改善してきたし、今後さらに改善することだろう。「何が何を引き起こすか」について、もっと情報があるのは、通常はよいことだ。だが本章のねらいは、この全体的な傾向の例外を指摘することだった。本書で何度も何度も目撃してきた抵抗は、利己性で説明できる。伝統的な専門家は、絶対計算への推移の中で生じる権力と地位の低下がお気に召さないのだ。

p.319
絶対計算に対する揺り戻しは覚悟すべきだろう。絶対計算の影響が大きければ、その分だけ抵抗も大きくなる。

p.320
全体としては、絶対計算とは無縁の人生を追求しようとしても、それは不可能でもあるしその人の利益にもならない。この強力な新技術を、産業革命に反して機械という機械をうちこわしたラッダイト運動のよう排除するかわりに、知識あるこの革命への参加者になるほうがいい。数について無知なままに頭を砂につっこむかわりに、絶対計算の基礎ツールを頭に入れてみてはいかがだろう。