lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

「議論」のデザイン ーメッセージとメディアをつなぐカリキュラムー(ちょうべんりツールみいつけた。)

図書館の書架でOPACで目星をつけた別の本を探している途中に、「目が合って」しまい借り出して読んでみました。
博士論文が書籍化されたもので、やはりなかなか難しく、読んでいてもこりゃまいった理解できないよというところもありました。
けれどもこの本が「ちょうべんり」なのは、「議論の十字」というモデルを知ることができたからです。
十字モデルはここからどうぞ(著者先生サイト)
本書の最終章の締めくくりの一節です。

p.447-448
ゼミ形式の卒業研究は大学における勉学の集大成であると同時に、一人ひとりの人格的な成長のために、学生と指導教員が向き合うことのできる貴重な機会でもある。しかしながら、私たち大学教員は、学生の研究を指導する傍らで自らの研究を進める使命を背負っており、数十名のゼミ生を相手に手取り足取りの個人指導をしている時間的余裕はほとんどないのが実情である。そのような矛盾の中で、「議論の十字」は、学び手と指導者の意思疎通において、的確でかつ無駄のない対話を可能にさせる共通の「言語」として、有効なコミュニケーションツールであることを書き添えておきたい。

卒業研究だけでなく、通常のレポートや、プレゼン、スピーチ等を組み立てるときの「テンプレ」*1として応用自在な汎用ツールだと思いました。

*1:「テンプレ」というと形式は整っているものの内実がうつろな(あまり考えなくてもとりあえず形にはなるので、思考停止や考えの深化を妨げる)ものという印象を与えるかもしれないが、これは、実を充実させるためのツールだと、本書に載っている一連の実践研究を見れば信じることができる。まだ自分は学生向けに実践していないけれども、自分が論文を構成するときも経験的に似たような設計をしていたので、とても共感できた。