lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

実証政治学構築への道(肉食系国際政治学者。)

ミネルヴァ書房の「自伝」シリーズです。
今まで読んできたこのシリーズの中では比較的若い先生のようで、したがって”まとめ”には入っているかもしれないが、まだまだ現役現在進行形という感じでした。
タイトルの「肉食系」とは、そういう印象からでもありますし、大学進学して都会出身の同級生のすごさに「田舎者のショック」を受け、「ドンキホーテ的な戦略」をつくったというくだりが個人的にウケたからです。

p.18
動揺したというわけではないが、長期戦略を作らないとまずいとすぐ思った。岩波文庫の社会科学の古典は読破すると意気込んだのはよかったが、それでどうしたということになると、特に独創的な感じがしなかった。そこでドンキホーテ的な戦略をつくり、岩波文庫の主要社会科学文献を原著で読破することにした。言うは易く、行うが難し。そもそも原語といっても、英語を含めて外国語の本は一冊も読了していないのである。どうなったかというと、岩波文庫の読破は日本語なのでいい線までいったのだが、外国語の原著を読む戦略はすぐに頓挫した。原著を購入するのも容易ではなかったが、それよりも外国語がろくに読めない。
(太字はlionus)

p.18
ここで革命的な戦略を採用したのである。英、独、仏、露、中の五か国語については全部一度に授業を取り始めたのである。英独は前からの計画通り、授業通りによく勉強したが、仏、露、中については一週間で一回くらいの授業で始めた。とにかく辞書を使うのが初めは難しかった。それでもくいついて放さなかった。二年生後半からは教養学科に進学、露と中については一週間に数回授業を取り、四年生になるまでこの方式を継続した。したがってこの二つはかなり上達した。
(太字はlionus)

ちょw
さらに念押しするように本書の後半でもw

p.121
この頃はとにかく一念発起と一大決意が多かった。内面的には大袈裟主義の時代だったと思う。自己に厳しく、情熱をもって追求する態度にひどく強い印象を受けた。特にウェーバーが何かのことで決闘して傷ついたことを知り、そこまでして争うような情熱に感心した。今に至るまで何で決闘したのが明らかでない。もっとも二十世紀初頭の人類はまだ野蛮だったのかとも思う。
(太字はlionus)

この他にも論文の書き方とか、(世界)標準的に書くならば理系も文系も基本は一緒だなと思わせられる記述があったり、色々と示唆というか興味深い点が多い「自伝」でした。