lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

文系は地頭重視で採用。

オフィスソフト(Word,ExcelPowerPoint)を活用して様々な「文書」を作成できるようになる,という科目の4月からの準備をしていました。
その中で,ABC分析をするための2軸のグラフを作成するところがあり,テキストの例題だけでは(お菓子の売り上げ)いまひとつ面白くないなと,他のデータを使ったオリジナル例題を考えていました。
どこの会社か店のものだか分からない何かの売り上げでは学生にはぴんとこないだろう,そうだ,自分が「売り物」になる「企業が求める人材」みたいな内容ならばちょっとは興味が湧くだろうと,ちょっと検索してみました。
産業界の求める人材像と大学教育への期待に関するアンケート結果(pdfファイル)
(2011年1月18日 (社)日本経済団体連合会 教育問題委員会)

この報告書の図12に「文科系,技術系・理科系大学生に期待するもの(複数回答)」の解答結果棒グラフが掲載されていて,そこから,「文科系」「技術系・理科系」に分けて表を作成しなおし,2軸のグラフを作成しました。


Aグループは70〜80%の間に入るまで,Bグループは90%まで,残りはCグループに分類してみます。
文系理系の差が明確に出ています。
文科系は,「論理的思考力や課題解決能力」がダントツ1位で,いわゆる”地頭”を重視していることが分かります。Aグループには「一般教養」までが入ると見えますが,”地頭”以外の内容を見ていると,”コミュニケーション能力”とざっくりまとめて言われるような要素が含まれているように思います。
技術系・理科系は「論理的思考力や課題解決能力」と「専門分野の知識」が僅差で1位2位で,”地頭”もだけど大学で専攻した分野の知識も期待されていることが分かります。Aグループには「実社会や職業との繋がりを理解させる教育」までが入ると見えます。1位2位以外でAグループに入るものを見ると,チームで働く能力も期待されつつ,大学で身につけた知識や技術を実際の業務につなげていく力も求められてるように思えます。いわゆる専門オタクではなくT字型の人材が欲しい,という感じでしょうか。
以上から,理系は専門教育をしっかり+その専門を現実社会に生かすための視点を持たせるという方向性が立てやすいような気がしますが,文系は”地頭”って,大学教育でどーするよ,と。
”地頭のよさ”は大学の入試難易度とかなりイコールの可能性大なので,中〜下の文系大学はツライものがあります。”地頭”の向上を何らかの形で具体的な到達目標に設定し,それを達成するためのプログラムを考える必要があります(と,言うだけは簡単なのですが・・・)。
実は,文科系の”地頭”は,従来からのアカデミックな教育でも十分養われていたし,今でもそうだと思います。例えば,マンモス上位私大の社会科学系学部では,「ゼミなしは内定とれない(とりにくい)」と言われていたりしますが(lionusの狭い見聞の範囲内では),ゼミに入って教員から突っ込まれたり,ゼミ生同士で相互批判しながら,それぞれの専門テーマを(短い期間であっても)深めていく過程で磨かれていく”地頭”があるのだと思います。
ただし,ゼミに入って”地頭”が磨かれるためには,本人たちにすでにある程度”自分でやる”力*1が備わっていることが必要で,その”自分でやる”力さえあやしい場合にはゼミがゼミとして成立しない(単に集まって喋ってるだけとか?)ので,ただゼミをやればいいというものではないと思います。
・・・まとまりませんが,オチのつけようがないので,ココでおしまいにいたしますです。

*1:ゼミ発表のために資料を探し,まとめる力など。