lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

ラインとスタッフ/企業のなかでどう生きるか/稟議と根回し/統率力(外部環境は激変したかもしれないけど,中の人の意識はそこまで変わってないんじゃないか。)

今やっている研究(仕事)の関係で,企業の「ラインとスタッフ」について知りたくてOPAC検索したら,そのものズバリの本が引っかかったので,早速読みました。→参照:10月7日記事

ラインとスタッフ (講談社現代新書)

ラインとスタッフ (講談社現代新書)

とても読みやすかったことと,また,著者の山田雄一先生は,人事院を経て企業へ,そして大学の先生(組織心理学)という変わった経歴をお持ちなことに興味を持ち,同じ新書シリーズで出ていた他の本も読んでみました。近年,(新卒学生に対し)求められる人材として,言われたことに従順に従うだけでは駄目,自分の頭で考え主体的に行動できる人,みたいなことが強調されているような印象があったのですが,この,昭和ヒトケタ世代により1980年代前半に書かれた本書を読んだら,日本の企業は昔っからそーだったんじゃないかなあと思いました。
つまり,いちいち聞くな(俺は忙しいんだ),自分で考えてやれ=「よきにはからえ」という感じです。
欧米の企業は,職務範囲がきっちり決まっているようなので,自分の職務範囲を超えることは判断できないというか,してはいけなく,その場合権限を持つ上司に判断を仰がないといけないはずだから,これは今も昔も日本企業の特徴なのではないかなあと思いました。
稟議と根回し (講談社現代新書 (772))

稟議と根回し (講談社現代新書 (772))

学生さんや社会人1年生は是非読むべきですね。
内容はタイトル通りです。
統率力 (講談社現代新書 (947))

統率力 (講談社現代新書 (947))

本書は前述の3冊とは随分違ったテイストでした。
リーダーシップについて検討し,現場の人向けに著者なりのリーダーとして心掛けるべき指針を示しています。
前述の3冊は,学生や若い社会人向けに分かりやすい明快な記述をされていた印象だったのですが,一転して,「この世を憂う」ような調子のところがあったり,

リーダーシップ研究は長らくされているけれども,結果として出てきた知見はわずかなもので,現職の人は経験的に知っていることだったりするんだよねえ・・・(ため息)

みたいな,(研究者としての著者本人の)無力感や拠り所のなさだけでなく,著者本人の価値観がそのまま開示されたような内容でした。
しかし,それだけに,ある種の真実味が感じられ,ずしりとした読後感がありました。