lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

JSTSS2010@神戸2日目。

今日はシンポジウムがA〜D×4=16本走っていました。
ちょっとこの学会の「シンポジウム」は独特で,当初「口演」の研究発表として募集,プログラム委員会でいくつかの「口演」をまとめてシンポジウムとして構成するということのようです。
学会の大会が始まった当初は,それぞれ独立して申し込まれたものを構成しているような印象を受けるものもあったのですが,数年ぶりに参加してみると,研究発表募集時にすでにシンポジウムの「原案」が発生している場合もあるのかもしれない,という印象を受けたりもしました。シンポジウムの各演題の関連性がかなり密なような気がしたのです。
さて,朝いちのシンポジウムの時間には寝坊してしまって遅刻してしまいました。残念。「新型インフルエンザの心理社会的影響 」を聴講しました。新型インフルエンザに罹った生徒さんがおられた兵庫高校の校長先生の危機対応報告が,当事者による現場からの証言という点で,興味深かったです。マスコミが学校に押しかけた当日は保健所など関連他機関からの情報が入っておらず,皮肉にも当事者の学校関係者が一番情報欠如していたということです。したがって,初日は校長先生は「丸腰」でマスコミに取り囲まれ,非常に大変な思いをされたとのことです。*1これはマズイということで,翌日からは「立ちんぼ」でなく,定期的に学校としての会見で情報を公開することに決めたが,会見の前には会議で教職員全体で情報を共有し,さらに会見後は,そこでの質疑等,やはり会議で教職員全体でその情報を共有することに努めたそうです。後で振り返ってよくこんなうまくできたなあと思った,とおっしゃっておられましたが,情報の取り扱いについて,非常にスマートであった印象でした。「トラウマティックストレス学会」なので,メンタルの話も少々出たものの,今回の校長先生のお話のキモは,教職員および関連諸機関との情報共有,およびHP等を利用した生徒・保護者への情報提供,マスコミへの情報公開といった,「情報」をいかに取り扱うかというところだったと思います。
勝田吉彰先生(近畿医療福祉大学)のご発表も,流言飛語や正しい知識の不足による不適切な行動(例:感染者の家族を出勤禁止にする)避けるための,ブログ等を通じた専門家による情報提供についてのお話が印象的でした。
続いて,「さまざまな治療アプローチの可能性」「ドメスティック・バイオレンスによる被害とコミュニティ支援の現状」「トラウマ記憶へのエクスポージャー 」を聴講しました。
来年の大会は,2011年4月23日(土)・24日(日)@大宮ソニックシティだそうです。

*1:校長先生のトラウマが問題かも?!