lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

JSTSS2010@神戸1日目。

JSTSS(日本トラウマティックストレス学会)第9回大会
10時過ぎに会場に入り,自分のポスターを貼って,10時50分からの臨床鼎談「トラウマ臨床に吹く順風、逆風」(岩井圭司先生,中井久夫先生,小西聖子先生)から聴講しました。
鼎談は,壇上に3人の先生(岩井先生が進行役)がお上がりになり,筋書きなしのフリートークでした。
こういうのって,いいですねえ。1時間でしたが,1時間半いや,ご負担かもしれませんが,2時間くらいとっていただきたかったなあと思いました。
トラウマ臨床の二次受傷的ストレスをどう解消しているのかというお話から始まって,後半は司法精神医学のお話で盛り上がっていました。
お昼はランチョンセミナーにそのまま流れ参加しました。
ランチョンセミナーとは,数年前の同じくJSTSSで初めて知った(経験した)のですが,つまりは製薬会社がスポンサーとなって無料お弁当を餌(?)に聴衆を集め,お呼びした講師によるセミナーを開くということです。
普段お昼は食べないのですが,ついお弁当を食べてしまいました(笑)。
本日は坂元薫先生の「不安と抑うつポリフォニー〜より良き治療ストラテジーを求めて〜」でした。TVにも出演されておられるせいか,非常に楽しくかつ興味深いご講演でした。
あれこれ面白かったですが,特にそうだよなと思ったのは,最近のキャンペーン効果か,「うつ」は一般にも広く認知されるようになってきているが,躁うつ(両極性障害)とうつ単独の間にある,混合型への抗うつ剤の投与には気を付けないといけないということです。このスペクトラムにある群には,躁とうつが容易に入れ替わるため,安易に抗うつ剤を投与すると,「気分安定剤」ではなく,「気分安定剤」になり得る場合があるということです。ただ,これは抗うつ剤はいけないということではなく,他剤とのさじ加減でコントロールする余地があるということだと理解しました。
午後からは,かのAlexander C MacFarlane先生の基調講演でした。
しかし・・・お昼を食べたのがまずかった・・・眠気との戦いになってしまいました。
けれども,MacFarlane先生のご研究の横(様々な要因を考慮)および縦(長期間の追跡研究)の幅広さにはつくづく感銘を受けます。
外傷体験の記憶というのは,まあ,記憶一般がそうですが,消そうと思って消せるものではないので,記憶が残り続けるというのは一番の問題ですね。記憶がPTSD(とそれに関連するイロイロ)の本質なのかもしれません。
次に,同じ会場でMacFarlane先生を含めたアジア(台湾,中国,タイ,ミャンマー)の災害精神保健活動に携わっている先生方との公開シンポでした。
最後,夕方からポスター会場でポスターセッションでした。
お客さん来るのかなあと思いましたが,そこそこ来ていただいて,1時間のセッション時間を超えてお話させていただきました。
以前,この学会で知り合い,論文のコピーなど送ってくださった先生と再会できたのが嬉しかったです。
しかし,皆さん自由記述の分析には困っておられるというか興味が非常に高いですね。
今回も,発表内容そのものに加え,分析方法そのものに興味をもって来られるかたが何人かおられました。
私のやっていることは高度なことではありませんが,因子分析とかみたいに,まだ一般的とはいえない方法だったので,これをどんどん進めて何とかペーパーにしないといけないと思いました(早い者勝ち?)。
自分の悪いところのひとつは,学会発表するのはいいが,その後が続かない(ペーパーにしていない)ことです。
野良ゆえ,もう基本的に私に指図する人はいないのですから,好きに書いて好きに投稿すればいいのです(いい加減に書くという意味ではありません;他人にちゃんと分かるように書かねばならぬことは当然です)。それをしていないのは逃げてますね。不誠実ですね。