lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)/本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本/よくわかる統計学〈1〉基礎編 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)/よくわかる統計学〈2〉経済統計編 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)(”よくわかる系”統計学3発。)

図書館の新着コーナーで見かけたので,さらっと通読してみました。

よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

よくわかる心理統計 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

これはなかなかよかったです。
字が結構みっちり詰まった感じで,やわらかいといいながら少しおかたい感じがするのですが,数式は高校数学を忘れてしまった人間にも,何とか理解できるレベルの記述で有難かったです(例えばシグマが出てこない)。
心理統計で有名なこの本のような堅実で丁寧な感じです。
本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本

本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本

実際,エピローグで著者の吉田先生とこの本についてリスペクトを込めてふれられています。
吉田先生の本との違いは,分散分析(実験計画の初歩も含めて)について比較的詳しく説明されている点に感じました。
外的妥当性等,心理学研究法っぽい内容の記述もあるのも面白かったです。
巻末に因子分析などの文献ガイドがあるのもよいですね。
このシリーズ(やわらかアカデミズム)の他の既刊を見ると,統計学関係が他に2冊あると知りました。
よくわかる統計学〈1〉基礎編 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

よくわかる統計学〈1〉基礎編 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ)

経済学・経営学系の文系大学生のための基本的な統計学の教科書です。
心理統計よりも確率関係の説明が多く,統計的検定についてはあっさり目です。例題や練習問題が内容の区切りごとについているのがよいです。ちょっと数式が多めでびびってしまうところもありますが,例題をなぞれば数式が直ぐに「解読」できなくても大丈夫そうです。経済学・経営学系で使う様々な分野の統計資料とその使い道についてまとめてあります。統計資料についての知識がなく,行き当たりばったりで『家計調査年報』など授業ネタとして使っていたのですが,ああこんな豊富な材料が世の中にはあるんだなあああとホクホクしました。*1偶然手に取ったのに,ずっと漠然と欲していた情報が得られたので読みながら頬がゆるみっぱなしでした。
統計手法そのものについての説明はあまり多くありませんが,(単/重)回帰分析についてExcelを使った説明があり,普段あまり使うことのないlionusにとっては,改めて勉強できてよかったです。
心理は文系のくせに理系っぽいとか思っていましたが,これを読んで,経済も文系だけどかなり理系っぽい,なるほど経済学部に数学出身の先生が結構おられるわけだと実感しました。

*1:統計の多くは政府によるものだと知り,活用せねばせっかく納めた税金がもったいない!とか思ってしまいました。