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ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む(最大にして最後のミステリーは人の心。)

ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)

ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書)

イギリスの作家で小説研究者として知られるE.M.フォースターを引用して,イギリス文学を専門とする著者は述べています。

読者に「なぜ?」と問わせる要素がミステリーであるとするならば,あらゆる文学にはミステリーが含まれているといっても過言ではない。

この普遍的な文学的要素としての「ミステリー」を特化し,その部分を高度に発達させることによって派生してきたジャンルが,ミステリー=探偵小説と言えるだろう。

そして,著者はミステリー=探偵小説も,一般の小説と同様,人間(性)を描くものとしてとらえ,本書では主に英国ミステリーの系譜における,「人間性の探究」について論じられています。

他人をとことん追いつめつつ自らはまったく無傷であるということを可能たらしめる文学上の装置が考案された。秘密を暴くという役割を職として担う者(あるいはそれに準ずる第三者),つまり「探偵」を物語の主人公として設定するというアイディアである。これから生じた新しいジャンルが,探偵小説なのである。

文学作品に探偵という存在を導入することによって,人間のアクノ秘密を白日のもとに晒し,その罪を完膚無きまで,しかも理路整然と暴くことが可能となる。

つまり,探偵小説とは,人間の弱点や人間性の暗部を探求するうえで,格好のジャンルのひとつだと言えるのである。

・・・「心の闇」を探る,という点では,一般に心理の人間に期待される役割と探偵のそれはかぶってくるな・・・とも思いました。
ふと,以前TVの2時間サスペンスもので,「臨床心理士」とタイトルについたものがあったなと思い出しました。
ちょっと検索してみると,火曜サスペンス劇場の枠に坂口良子さん主演で,「臨床心理士」と題した計7本の作品が放映されていたようです。
臨床心理士」でのドラマ&人名検索結果 - ◇ テレビドラマデータベース ◇