lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

まだダメじゃないと思います。

これはもうダメかもわからんね インフラ系SEの波瀾万丈伝
コラムタイトルの短い紹介文には,

筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

とあります。1970年生まれの人が,「情報技術者を目指す若い方へ」と書かれるあたり,当分野の「現役」ラインは若いのだなと感じてしまいます。
最初どの記事に出会ったのか,忘れてしまったのですが,全記事を読んでみて所々,lionusの琴線にふれるところがあったので,ブックマークとかRSSには入れなかったのですが,頭の片隅に残っていました。
琴線にふれるかどうかは別としても,お話がタイトル通り波乱万丈ですので,一読の価値はあると思います。

デジタルネイティブは、切符を買った乗客に過ぎない】
 デジタルネイティブな彼らは、たとえば「電車が何であるかを知っている」「電車を生まれた時から使っている」「電車を上手に乗り降りすることができる」だけの話であって、内部的にどんなギアが使われているか、どんなモーターで牽引しているか、電圧は何ボルトで、耐荷重は何トンで、軌間は何ミリで、整備状況は……ということを、ほとんど気にしないで、単に「便利な乗り物」として使っているだけです。我々が整備した鉄軌道の上を走る、我々が整備した電車の座席に座っている、単なる「切符を買った乗客」に過ぎないのです。
 マニアックに「電車」について語ることができても、我々エンジニア目線とは違い、あくまで「電車マニア」の域を脱していないのです。だから混同して欲しくないのは、鉄道マニアと、鉄道員とは厳然として違うというところです。純粋に情報インフラを楽しむお客さんと、日夜、情報インフラを守るエンジニアとでは、緊張の度合いが違います。

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/tadokoro/2008/11/post-bce3.html

ここで言われている「デジタルネイティブ」とは,NHKスペシャル「デジタルネイティブ〜次代を変える若者たち〜」で扱われた,自由自在にネットを使い,あれやこれやのことを軽々こなしていく”新世代”のことを指しています。
このNスペは,lionusも見ていましたが,おおすごいなあと思う反面,何か違う気もする・・・と感じたこの”新世代”および番組での持ち上げられ方に漠然とした違和感を感じた,その感じをうま〜く表現してくれているような気がしました。
でも,コラム筆者の田所稲造氏(本名らしいですが,HNです)のエライところは,落とすだけでなくてちゃんと期待して上げているところです。

 一方で、デジタルネイティブには、新しい商習慣を生み出すチカラがあると思うのです。新しい分野を開拓する、年齢や国境を超えて商売をする、といった面においては、ベンチャーの立ち上げ方の新しい手法として、アタマのCPUが古い日本の「ベンチャー融資担当のおぢさまたち」に、もっともっと見習って欲しいところです。
(中略)
もし、それら事業を本気で成功させたいのであれば、おぢさんは「デジタルネイティブ」が走るための線路を、現場でしっかりと守るよ。おぢさんは、君たちの夢に向かう電車を頑張って走らせるよ。今の情報インフラストラクチャが、それら「新しい商習慣」を切り開くのであれば、おぢさんは君たちのために「特等席」を用意するよ。ただし、生半可な気持ちで始めるのであれば、容赦なく「途中下車」してもらうけれどもね(笑)。

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/tadokoro/2008/11/post-bce3.html

最後の(笑)のついた一文もいいですね。
最近のこの記事も,ぐぐっときました。

 そんな「ナナゼロ世代」が、もうじき40歳代を迎えようとしています。競争に次ぐ競争で疲弊した身体に、自身の老化と、かつて「モーレツ社員」や「教育ママ」だった親の介護がのしかかってきました。かつての「教育ママ」は「後期高齢者」と呼び名を変えて、子供のスネをかじり始めました。疲れも限界です。「親の子殺し」「子の親殺し」などという物騒なニュースは日常茶飯事になり、世代間のカネの奪い合いはやがて「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」に代表されるような事件へと発展していきました。

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/tadokoro/2009/01/post-e527.html

ナナゼロ世代=1970年生まれ=第二次ベビーブーム世代=受験戦争激化+就職氷河期で割りを食った世代,ですね。
最後の一文にある,「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」を「世代間のカネの奪い合い」,非正規雇用で使い捨て搾取される若者が,高齢者からカネを奪い取るという図式は,この間,Nスペ「職業“詐欺”〜増殖する若者犯罪グループ〜」を見て,lionusも連想してしまった*1ところなので,ツボにはまりました。
あと,最近,「派遣切り」の雇用の受け皿として農林業分野がクローズアップされているのを見て,一抹のもやもや感があったのですが,

たまに、ラジオなどで耳にする「帰農」への動き。それは果たして「疲れ切った日本人への福音」なのか、それとも単なる「サラリーマン減らし」なのか……。政府が、それとはなしに「田舎暮らし」を勧奨する背景には、やはり「飽和した都会での人減らし」、つまりは「棄民」の意図が見え隠れしていて……そこらへんは警戒しています。

http://el.jibun.atmarkit.co.jp/tadokoro/2009/01/post-e527.html

「棄民」ねぇ,なるほどねぇ。
波乱万丈を経験されてきただけに,「危険」への感覚は鋭く,感覚だけにとどまらず言語化できるのかもしれません。

*1:一生懸命勉強して,いい学校に入り,いい会社に入り・・・という図式が崩壊し,”努力しても報われないのはバカみたい”と,有名大学や一流企業の出身者が「振り込め詐欺」「オレオレ詐欺」に走るケースが取り上げられていた。