lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

ミーハー心で聴講。

講演会「これからの学士課程教育〜大学に何が求められているのか〜」(10/25、於関西学院大学)を聴講してきました。
講演会のテーマそのものにも、非常勤講師の立場なりに興味はありましたが、土曜日に出かける気になったのは、講演者にあの西和彦氏がいらっしゃったからなのです。
PC使用歴20年余りのlionusにとって、アスキーという会社および発行していた雑誌(ASCIIとかLOGINとか)は非常に懐かしいもののひとつです。
講演会のお知らせを見たとき、「ホントにあの西氏なのか?」と半信半疑だったので、所属(須磨学園学園長)で検索してみたら、やはりあの西氏だったので、これはぜひ聴講せねば!と単純なミーハー心で申し込んでしまいました。
・・・西和彦って誰?という方には以下をどうぞ。
ご本人のサイト
西和彦とは
あとこんなマンガもあります(ビル・ゲイツ氏も登場)
講演会前半の義本博司氏(文部科学省大学振興課長)と川嶋太津夫氏(神戸大学教育推進機構教授)の内容は、近年の大学をめぐる状況を概観し、「こうあるべき」という方向性を示すような内容だと理解しました。
その後の西之園晴夫氏(NPO法人 学習開発研究所代表)の講演は、西之園先生のご研究(ご活動)の歴史的概略がある程度示されていたので、今まで他所で聴く機会があったが、いまいちよく分からずにいた先生の主張の背景を少し理解できたように思え、大変有益でした。
さて、ミーハー心で期待満々の西和彦氏(須磨学園学園長)の講演は、時々ジョークも含めて会場からもウケていました。個人的にも面白かったです。ひとつ非常に共感したのは、「大学の商品は授業(教育)ではなく、(教育を施した)学生そのものであり、顧客は企業(社会)である。」という点です。まあ、このような考えを全面的に肯定すると本日(10/27日)の内田樹先生の記事にあるような疑問反論

繰り返し言うが、教育はビジネスではない。
教育は資本主義が登場するより以前から存在する。
だから、教育の意味や価値を資本主義市場経済の用語で説明することはできない。
教育の目的はこどもたちを「成熟」させることにある。
子どもたちを成熟させるための装置として「学校」という制度は存在する。
それは株主に配当をもたらすために存在する株式会社という制度とは成り立ちも存在理由もまったく異なるのである。
子どもの成熟は「換金」できない。
「成熟すると、いくらもらえるんですか?」
というような問いをしているかぎり、ひとは成熟とは無縁である。
この当たり前の知見がいまだに共有されていない。

http://blog.tatsuru.com/2008/10/27_1055.php

が出てくると思いますし、lionusも西氏のように学生=商品、顧客=社会と100%言い切ってしまうことには(内田先生が考えておられるのとほぼ同じような理由で)抵抗がありますが、大まかな方向としては同意するし、念頭に置くべきことと思います。