事故と心理―なぜ事故に好かれてしまうのか(ガキは世間が狭い。)
- 作者: 吉田信彌
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 新書
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大学図書館の新書の棚をぼ〜っと眺めていたら,なぜか本書の背表紙がパッと目に入ったので,読んでみました。*1
自分がちょっと研究している(た)情報倫理(情報モラル)に関連して,交通安全についての論はあちこち興味深く参考になりそうでしたが,個人的には以下の記述がスコーンと頭に突き抜け爽快でした。
知は力なり
歩行者事故では,知が力となりうることが示唆された。従来,子供と高齢者が交通弱者と呼ばれ,事故の被害に遭いやすかった。それは,彼らが免許を保有せず,車の論理と習性を学ぶ機会を充分与えられなかったためである。自動車の急な普及に対応できずに,車の気持ちがわかる歩行者になれなかったために,被害者になってしまった。
教習所によい思い出をもたない人が多いようだが,教習所とその後の運転から学ぶ内容は,運転だけでなく,歩行者としても保護者としても有益な知識である。その知識を学校や地域社会がわかちあうようになれば交通安全は広がりをもつだろう。
昨年末の夕方(すっかり日没後),タクシーで駅近くの狭い道*2を通っていたら,前方道路中央を2名の小学生くらいの女の子が自転車で走っているのに追いつきました。彼女らは背後のタクシーの気配を察知し,す〜っとそれぞれ左右両端に分かれていったのですが,道が微妙に狭いので,ドライバーの立場からすると,左右それぞれの自転車に対し安全な距離を保ちつつ追い越すのは非常に「怖い」状況でした。したがって,運転手さんは,左右に分かれて走る自転車と同じ速度で後ろをつけていく形になってしまいました。
lionusは急いではいましたが*3,ペーパードライバーながら運転手氏の気持ちは分かるので,仕方ないな〜とか思っていました。すると,小学生女子は自転車上からこちらに振り向き
はよ〜抜かして〜な!(このクソノロマタクシー)
と大声で言い放ったのです。
運転手氏キレる。
と,同時に,ぐっと速度を上げ左右の小学生女子自転車の間をすり抜けていってしまいました。
lionus後部座席でヒヤヒヤ。
運転手氏は憤懣やる方ない様子で,お子様自転車のマナーの悪さを愚痴っていました。
lionusはふと思いつきで,
子どもらは,車の免許を持ってないから,車の側の気持ちが分からないんですよ,きっと!
教習所のシミュレータみたいなのを,小学校でやらせたらいいと思いません?
交差点で左折しようと思ったら横から自転車がふ〜っとやってきて巻き込み事故っ!っていうのを経験したらいいんですよ(笑
などと言ってみたら,運転手氏は毒気を抜かれた様子で「はあ,はああああ・・・?」とか言いつつ大人しくなってしまわれました。
なんでなんだろう。よく分かりませんが。
そんなことを思い出しました。