lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

災害の心理―隣に待ち構えている災害とあなたはどう付き合うか(身近にトラウマは転がっている。)

著者は大学で「災害心理学」という科目を担当されているそうで,その授業内容が基になっているようです。そのせいか「ですます調」で一般にも読みやすい語り口です。「心理学」と銘打ってはありますが,著者は児童青年精神科医なので,中身は「心理学」ではなく「精神保健」「精神病理」系のお話になっています。*1
人間の心にトラウマをもたらすものとして,阪神・淡路大震災のような自然災害のみならず,人為的災害(最たるものは戦争)や,個人的災害(例えば交通事故)について書かれています。
いつどこで「災害」に遭うかどうか,誰にも分かりません。
いつ自分が(あるいは身近な人が)トラウマティックな体験をしても不思議ではない。その時への備え(心構え)が必要であるということです。
#自分だけは大丈夫だという「楽観的な思い込み」があるから生きていけるという側面もあるのでしょうが。
巻末に(1)一般向け,(2)準専門的,(3)専門向け,の3種に分け参考図書が多数挙げられているのもよいです。

*1:大学の科目名としても,書名としても「災害精神保健」よりも「災害心理学」の方が一般受けがよいのだと推察。