lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

同時多発的。

前泊したので,10時からの午前中のシンポジウム「学習科学に基づく新しい人間環境のデザイン」を聴講してみました。
日心で「学習科学」という言葉が使われているのを見たのは(自分としては)初めてでしたし,企画者・司会者として森敏昭先生(学習心理学教育心理学)の名前があったので,興味深く思った次第です。
しばらく前に,心理系ではない人から「学習科学」なる言葉を聞いたことがあったのですが,その時は「学習心理学とどう違うの?」と一瞬怪訝に思ったまま放置していました。この疑問へのヒントが得られないかと期待したのです。
話題提供の先生方のお話は,特に「学習科学」を志向したものではないということでしたが,その後のディスカッションはいくつか重要な方向への「芽」があるように思いました。

  • 従来の実験法ではできない新しい研究法の必要性(質的研究法等)。
  • 学ぶ知識の質の違い:従来の知識獲得モデル(正解がある)から,知識を獲得すると同時に構築していく(有機的な)モデルへ(最初から正解が定まっていない)。
  • 知識の可視化:感じたものを可視化することによるリフレクション,高まり,学習プロセスを目に見える形に。
  • 学習環境のデザイン。*1
  • 昨今のID(インストラクショナル・デザイン)の流行りも,今回の日心で「学習科学」という語をタイトルに入れたシンポジウムが開かれたのも,大きなトレンドの一端であると感じました。あちこちで同じようなことが違う人間同士で語られている感じです。
  • TK先生から質的研究法の勉強を薦められている節があり,まあ流行りだから押さえておかねばならないのだけれども,何でだろう/どうも気が進まない・・・と感じていましたが,何となく自分の中で意義が納得できたような気がします。TK先生がどのように考えておられるのかは全然分からないのですが,自分勝手に腑に落ちた次第です。

*1:環境をデザインするという点は,従来の学習心理学の知見に学ぶ点は多い。