lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

2002年度卒業生の卒論ですか〜。

4月18日や4月27日の記事で書いた動画教材は,そもそも昨年のSSS2006での発表(矢島 彰, 江見圭司, 石川高行 PC画面動画キャプチャー教材を活用した一般情報教育としてのCG科目moodleコース作成)からインスパイアされたものでした。
数年前から,「Excelでのグラフの作り方」など単純かつ汎用的な動画教材は,うちの大学でもTせんせいが作成されたものをWebClass上に載せて利用はしていました。したがって,一般情報教育において動画教材を活用すること自体はlionusにとっては目新しいものではなかったのですが,SSS2006での発表事例では,授業で扱う内容(課題)そのものの操作方法を,ほぼ「丸ごと」キャプチャーして動画教材として提供しているという点が画期的に思えました。
そういえば私も,昨年度からそのような,プロセスを「丸ごと」見せる動画教材を使ってはいたのです。リテラシー系の授業で,Excelの発展課題を出題したのですが,課題をこなす際には,特に具体的な説明をせず各自の試行錯誤学習を促していました(これこれこういう条件でやるんだよ,さあ頑張れ!と丸投げ)。しかし,全員が必ずしも「正解」にたどりつくわけではありませんし,試行錯誤しながら何とか問題解決したとしても,それがエレガントな方法とは限りません。よって,「模範解答例」としてビューレットカムでlionusの操作をキャプチャーし,その動画に適宜文字による補足などを加えた上で,学生に何らかの形(WebClass上に載せたり,HTML化したり)で提示していました。
現在も,おかげさまで動画教材により授業はそれなりに何とか進行しており,少し気持ちに余裕ができたので,ビューレットカムのようなキャプチャーソフトを利用して作成した動画教材を,情報教育で活用している事例の報告が他にあるのではないかと,ちょっとぐぐってみました。
大塚藍(2002)大学基礎情報処理授業におけるテキスト教材と動画像教材の比較
ざっと流し読みして最後の謝辞で少しびっくりしました。「この卒業研究を作成するにあたり,ご指導をいただきました堀田 博史先生に深く感謝いたします。」とあったのです。Googleの検索結果から飛び込んでいったので,読みながらこれは院生か,若手の紀要論文あたりかなと思いつつ読んでいたのです。卒業論文かぁ。さすがですね。
先行研究について述べているところは,ややぴんとこないというか大上段に構え過ぎて板についていないような感じはするのですが,メインである静止画教材と動画教材の比較データはなかなか興味深いです(被験者にアンケートを実施)。基本的に動画教材は効果的ということなのですが(否定的意見も取り上げている),特に学習時間の短縮効果がありそうな結果が面白いです。
内容とは直接関係ないのですが,比較データについて報告しているところの文章は,「はじめに」よりも直接的というかややくだけた文体になっていて,ここいらへんは大学生の卒論らしさが出ているように感じました。論文としてはもう少し改善の余地がありそうではあるが,自分の言葉で書いているという感が強く,むしろ好感を持ってしまいました。