lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

呪いの研究-拡張する意識と霊性(精神世界とか苦手です。)

呪いの研究-拡張する意識と霊性

呪いの研究-拡張する意識と霊性

著者は,トランスパーソナル心理学を研究する心理学者と神職の二足のわらじを履いておられるそうです。四国在住で地元の霊能力者との交流もあり,フィールドワークから得られた知見が本の前半にまとめられています。それらの真偽のほどはともかく,記述は生々しいです。
後半は,トランスパーソナル心理学からの考察と,近年の量子力学からの知見について解説されています。
lionusはトランスパーソナル心理学も,量子力学も知らないので,何とも評価できないのですが,こんな考え方があるのかと新鮮な驚きがありました。
ところで,思わず大きくうなづきながら読んだ箇所があります。
現在では違うようですが,トランスパーソナル心理学を背景にして広まったものに,新霊性運動(ニューエイジ運動)というものがあります。日本では「精神世界」と呼ばれるもの(ヒーリング,レイキ等々)がそれに当たります。
lionusは「精神世界」関係のもの・人・こと,を苦手としております。しかし,精神世界系の人はlionusを好んで近づいて来られることが時々あり,その場合,居心地の悪さに堪えかね,ニコニコしながら脱兎のごとく逃げるのが常です。居心地を悪く感じる理由について自分なりに大体整理はしていたのですが・・・

トランスパーソナル学者のバティスタは1970年代以降の新霊性運動(ニューエイジ運動)の出現によって,自分の心の問題をすり替え,置き換えようとして,その考えや実践を誤用する人々が増えてきたと述べている。彼はこれを,「偽りの霊性」と呼んでいる。バティスタの言う偽りの霊性には,霊的防衛と攻撃的霊性があげられる。

霊的防衛とは,われわれの「あるがまま」の自己表現を妨げる霊的な信念を指す。(中略)霊的防衛が,自分の本音を否認し,抑圧する根拠となっているのである。

本書では,ある特定の宗教の信者が,その教義に(教条的に;過剰に)従い,人間関係において怒りを表現したり自己主張しないことを例に挙げています。つまり,自分の”善”なる部分のみに目を向け,怒りなど”悪い”部分を否定して存在しないかのように振舞うことのようです。霊的防衛のパターンは他にも複数指摘されています。いずれも「精神世界」系の人にはよく見られるパターンだと思いました。

もう一つの偽りの霊性,すなわち攻撃的霊性とは,他者を束縛したり,自分を支持するようにしむける手段として,自分が「霊的に発達している」と主張することを指している。そのような行動は,脅かされ,傷つきそうな自分を支えようとして自己愛的に機能する。それゆえ,攻撃的霊性は,じつは欠乏感や無価値感,他者から拒絶されることへの恐れを含み,ひいては否認された「本当の自分」との接触を避ける結果となっている。

このようなナルシシズムも,実はニューエイジ/精神世界系の人間に蔓延している。トランスパーソナル心理学の旗手の一人,ケン・ウィルバーも,基本的にはニューエイジ(精神世界)の住人を,自我の確立以前の「前個的」な自己愛症候群,誇張,万能感にとらわれている,と厳しく批判している。

もちろん,本当に悟りの境地というか,ある一定のレベルまでに達しておられる方も一部にはいらっしゃるのかもしれませんが。
あと,lionusの中に「魅入られる」ような隙があるのがいけないのだと思ったりもします。
死んでいる人(幽霊)よりも生きている人(生霊)の方がずっとずっと怖いです。