lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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希望の心理学(人間は希望を食べて生きている。)

希望の心理学

希望の心理学

筆者の時間的展望の研究をもとに,多彩な観点から「希望」について心理学的に検討した1冊。

希望は,人間の認知,欲求,感情のすべてにわたっており,それらの機能が総合的に働くことによって生まれてくるものだと考えてよいのである。

読み始めは「こんな漠然としたものをどうやって料理するのだろう」と思っていましたが,章が進むにつれて実証データと多彩な文献をもとに「希望」とは何か,について力強く語られていきます。

私たちの人生は,わからないことだらけ,見えないことだらけである。いやむしろ,わからないからこそ,私たちは歩みだしていくことができるともいえるのではないだろうか。確実に到達できる未来が目の前に見えているとすれば,歩くことはただの惰性でしかなくなってしまう。人生は不確実で,決断や出会いがあるからこそ,そこには新たな希望も生まれてくるといえるのである。

心理学の本として読むのもよし,人生論の本として読むのもよし,という感じです。筆者が本当に心から言いたいことを言っているという,読後感のすっきりした本です。