カウンセラーは学校を救えるか―「心理主義化する学校」の病理と変革(CP制度は飽和というかじきに崩壊すると思うんです。)
fprというMLで臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について,財務省による調査結果をもとに議論されています。
私はスクールカウンセラーをしたことがないので,実体験はないのですが,教育と臨床(心理)は逆の方向性をもつと感じていたので*1,学校に臨床心理士が入っていくことについては,危うさがあるのではないかと漠然と思っていました。
fprでの一連の議論の中で,紹介されていた本があったので読んでみました。
カウンセラーは学校を救えるか―「心理主義化する学校」の病理と変革
- 作者: 吉田武男,中井孝章
- 出版社/メーカー: 昭和堂
- 発売日: 2003/10/01
- メディア: 単行本
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また,現在の学校における生徒と教師の関係について,「役割ゲーム」と「欲望ゲーム」という言葉を用い論じているところは,今まで漠然と感じていたが言語化できていなかったものが明確になったようで,「なるほど!」と思いました。
従来(すでに過去?)の学校では,生徒も教師もそれぞれの「役割」に期待される振る舞いをしていたため,学校の秩序が保たれていた。しかし最近は,学校や社会の「心理主義化」により,生徒は時に「ほんとうの自分」という言葉で表現されたりする,むきだしの自我・自らの内面の真実や欲望のまま振る舞い,教師に対峙する。これが生徒(欲望ゲームonly)と教師(役割ゲームと欲望ゲームの狭間に立つ)の意識のズレを生み出し,学級崩壊などの学校病理の背景となっている,ということのようです。
後半部では,現在臨床心理の世界で優勢な,ユング心理学を背景にしたカウンセリングに代わりうるものとして,ナラティブ・セラピーが特に強調され薦められていますが,この本の記述だけでは,ユング派の物語療法とどこが違うのかは分かりませんでした。
べんきょうしなきゃ。