lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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ブリッジマンの技術

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

ブリッジマンの技術 (講談社現代新書)

著者先生は火山学がご専門で,火山学の研究成果を一般に分かりやすく伝えるお仕事をされている,ということです。
専門的な内容を,相手に合わせて分かりやすく,しかも正確さを損なわないためにはどうしたらいいか,それは相手の「フレームワーク」を把握し,それに沿った対応をしてゆかねばならず,本書ではそのための具体的な方法が提案されています。
新書サイズで手に取りやすく,節ごとに言いたいこと(トピック)を1つに絞った上で,しかもその言いたい内容の言い方を変えて複数回繰り返す(でもくどくなくコンパクト)という書き方が特徴的で,とてもとても読みやすい本です。
この記事を書く際に,Amazonのレビューも目を通してみたのですが,こんな記述がありました。

1/4ほど行ったところで話がこの先どのような展開となるのか目次を探ったが、読み始め時に薄々と感じていた不安が的中するようであることを悟る。そう、どうやら本書はタイトルどおり「橋その物」になりたい人のことを指しているのだ。皆に踏みつけられ、川の流れの圧力に耐え、それでも大勢の人々の日々に益ある存在であることに意義を見出そうとしている人の書なのだ。
「といって、受け手に迎合すればよいのではけっしてない。異なるフレームワークと上手に合わせながら、発信者のオリジナルな考え方を注入しようとする(P.24)」
「一方で、相手の嫌いなことは決してしない。相手の関心に丁寧に合わせて行動するのである。これがブリッジマンになるための一番基本にある法則なのである(P.39)」
(中略)
なぜこれ程までに受動的な振るわいをする必要があるのか。ボーダレス、グローバル化の現代においてはむしろ、己の考えを "自分の言葉でしっかりと" 表現することが重要ではないかと思う。

http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4062879727/ref=cm_cr_dp_see_all_summary?ie=UTF8&showViewpoints=1&sortBy=byRankDescending

自分が火山学者としてしっかりとした専門性(アイデンティティ)を確立しているからこそ,相手との違いをよく認識し,その違い(ギャップ)に橋をかけるのことができるのではないかと思いました。