lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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絶望の裁判所

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

講談社現代新書のそれぞれの表紙の四角の色はどうやって決めているんでしょうか。本書の場合,真っ黒さが「絶望」をよく表しているように見えました。
「あとがき」より:

p.238
最後に付け加えれば,本書は,ある意味で,司法という狭い世界を超えた日本社会全体の問題の批判的分析をも意図した書物であり,そのために,社会学を始めとする社会科学一般の方法をも適宜援用している。私たちの社会の組織,集団等のあり方,バブル経済崩壊以降のその行き詰まり,停滞には,本書で私が種々の側面から分析したような問題に起因する部分が大きいのではないだろうか?日本の裁判官組織は,法律専門家エリートの閉ざされた官僚集団であるために,そのような問題が集約,凝縮されて現れ,社会病理学,精神病理学的な様相を呈しているのではないだろうか?それが,私の仮説である。その意味で,本書で私が提起した問題には,一定の普遍性があるのではないかと考えている。

閉鎖された組織空間での「人事による統制とラットレース」とは,官僚的な大企業にもみられそうな感じです。同じような構造が,日本のあちこちにありそうなことは同感です。
優秀な頭脳の壮大な無駄遣い*1,いやいやもしかすると蠱毒*2まで連想してしまうほどの記述でした。
もうその”壺”から脱出した人だから書けるのでしょうね。

*1:司法試験に受かって裁判官になる人たち=平均的な日本人よりはずっと優れた情報処理能力をもっているはず。

*2:閉鎖空間での喰い合い死闘?